
自宅などの不動産を売却する際、不動産会社の査定を無料で受けることができます。しかし、無料であるがゆえに、後で損をすることはないのか不安に感じている方もいるでしょう。
ここでは、自宅の売却時の査定が本当の意味で無料なのかと疑問に思っている方に向けて、自宅の査定を無料でできる理由やお得な活用法などをご紹介します。査定の具体的な仕組みを、有料の鑑定との比較なども交えながら解説しますので、これから自宅を売ろうと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 自宅の査定は本当に無料?
自宅を売却するとき、多くの場合はまず不動産会社の価格査定を受けることになります。
自宅の売却方法には「不動産会社に買主を探してもらう」、「不動産会社に自宅を買い取ってもらう」、「自分で買主を見つける」といった方法があり、このうち多くの方が「不動産会社に買主を探してもらう」方法を選択します。
これには以下のような理由があります。
・通常、不動産は頻繁に売買するものではなく「自分で買主を見つける」ことが困難である
・「不動産会社に自宅を買い取ってもらう」と、一般の買主に直接売るよりも安い価格になってしまう
不動産会社に買主を探してもらう場合、まずは自宅をいくらで売却するかを決めるために、不動産会社の価格査定を受けることになります。結論からお伝えすると、不動産会社の価格査定は無料で受けることができます。なぜ不動産会社の価格査定は無料なのでしょうか?
2. 自宅の査定を無料で受けられるのはなぜ?
ここでは、自宅の査定を無料で受けられる理由を解説します。
2-1. 査定は不動産仲介サービスにつなげる営業活動
価格査定は、不動産会社にとっては、不動産仲介サービスにつなげる営業活動の一環です。
不動産仲介サービスの一般的な流れは、以下のようになります。
・価格査定を行う
・媒介契約を結ぶ
・売却活動を行う
・売買を成立させて仲介手数料を受け取る
不動産会社としては、最終的に売買契約を成立させて仲介手数料を受け取ることで報酬を得ることができます。そのためにはまず媒介契約を結ぶ必要があります。価格査定はこの媒介契約を結ぶための営業活動として、無料で行われていると考えるとよいでしょう。
不動産会社が価格を査定するためには、資料を探して調べたり、場合によっては法務局で謄本や公図を請求したりします。これらの費用は売買契約が成立した後の仲介手数料に含まれており、査定の段階で費用を請求されることはありません。
2-2. 不動産会社が仲介手数料を請求するための要件
不動産会社は査定にかかる人件費などの諸経費を、売買契約後に仲介手数料を受け取ることで補いますが、不動産会社が仲介手数料を請求するための要件としては以下のようなことが挙げられます。
・不動産会社と依頼者の間で媒介(仲介)契約が成立していること
・媒介契約に基づいて不動産会社が行う媒介(仲介)行為(広告活動や案内活動など)が存在すること
・媒介(仲介)行為により売買契約が有効に成立すること
この3つの中で一番重要なのは、「売買契約が有効に成立すること」です。
いくらたくさんの価格査定を受けて媒介契約を締結しても、買主が見つからない限りは不動産会社が仲介手数料を手にすることはできません。不動産会社が仲介手数料を受け取る条件は、あくまでも「売買契約を有効に成立させること」なのです。
売主・買主の事情や不動産会社によっても対応は異なりますが、売買契約成立後に何らかの事情で売買契約が解除となった場合でも仲介手数料を請求されることがありますので、事前に確認しておいてください。
例えば、過去の判例を見てみると、売買契約後、買主が「住宅ローンが否決となったときに売買契約を白紙解約とできる」住宅ローン特約を、「随意の判断で適用した」とし、「売買契約が解約となったものの仲介手数料を支払う」命令が下されています。
とはいえ、上記判例では買主に否があるといえるでしょう。
一方で、別の判例では売買契約を解除した売主に対し、不動産会社が「適切な助言や調査を行わなかった」ことを理由として、不動産会社による仲介手数料の請求が棄却されている判例もあります。
3. 査定の仕組み
ここでは、不動産会社の行う査定の仕組みについて見ていきます。
不動産会社の行う査定には、簡易査定と訪問査定の2つがあります。
簡易査定とは、所在地や面積、築年数や、周辺物件の過去の売買事例など、資料で分かる範囲のもので価格査定をすることです。査定価格の精度は訪問査定よりも落ちますが、素早く査定結果を聞くことができるというメリットがあります。簡易査定では早ければ当日、遅くとも3日ほどで査定結果を聞くことができます。
一方、訪問査定とは簡易査定で行う内容に加え、実際に現地に足を運び査定額を算出するものです。自宅の実際の保存状況や自宅からの眺望、周辺環境など、書面だけではわからない部分を査定できるため、より高い精度で価格が算出されます。訪問査定では、売主の都合のよいときに自宅を訪問して査定する必要があるため、査定依頼から1~2週間程度の時間が必要となります。
簡易査定はすぐに査定結果を聞くことができるものの、あくまでも簡易的なものであり、売却を念頭においているのであれば訪問査定を受けた方がよいでしょう。
なお、実際に売却をするのであれば、先に簡易査定を受けていたとしても訪問査定を受ける必要があり、最初から訪問査定を選んでおいたほうが、総合的に見ると時間の短縮につなげられます。
3-1. 不動産会社にお金を支払うタイミング
先述の通り、不動産会社にお金を支払うのは、売買契約後です。なお、仲介による自宅売却の一般的な流れは以下のようになります。
このうち、仲介手数料を支払うタイミングは5の「売買契約締結時」です。
なお、実務においては5の「売買契約締結時」に半額、6の「引き渡し時」に半額とするほか、売買契約締結時に全額を支払うものや、引き渡し時に全額を支払うものなどさまざまなケースがあります。
いずれにせよ、査定の段階でお金を支払うことは一切ないと考えてよいでしょう。
4. 不動産鑑定士の鑑定は有料
自宅の価格がいくらかを知るのには、不動産会社による無料査定とは別に、不動産鑑定士に不動産鑑定をしてもらう方法もあります。ここでは、不動産鑑定について簡単に見ていきましょう。
4-1. 鑑定は鑑定自体にお金がかかる
不動産鑑定では、不動産査定とは異なり鑑定自体にお金がかかります。
これは、不動産査定は仲介サービスを売る営業活動という側面があるのに対し、不動産鑑定は鑑定そのものを目的としているためです。
不動産鑑定の費用は物件の鑑定額によりますが、自宅の価格が2,000万円~5,000万円程度であれば、20万円~50万円程度かかることが多いです。
なお、鑑定額は主に鑑定の内容(所有権なのか、借地権なのか等)により決められますが、鑑定を依頼する地域ごとに相場が異なることもあります。
また、鑑定評価を依頼すると最終的に鑑定評価書を受け取ることができますが、依頼から鑑定評価書の納品を受けるまで、おおむね10日~2週間程度かかると考えておいてください。
4-2. 裁判資料として有効な鑑定価格
不動産会社の価格査定が無料であるのに対して不動産鑑定は有料ですから、自宅を売却するときも不動産鑑定を受けていたほうが有利に進むのかというと、必ずしもそうとは限りません。
確かに、不動産鑑定は「不動産の鑑定評価に関する法律」にのっとって不動産の価格を鑑定するもので、法的にはより正確な価格を算出できると言えるでしょう。不動産鑑定は具体的に何のために行うのかというと、相続において公平な遺産分割を求める場合など、裁判においてより有効な資料として扱われることが多いです。
なお、査定価格は「おおむね3カ月以内に売却できる価格」で、不動産会社が相場やその他データから独自に算出した価格です。
不動産の売買価格は売主と買主が合意すればいくらであってもよいのですが、価格には相場があり、相場より安くすればそれだけ買主が見つけやすくなり、逆に相場より高くすれば買主を見つけるのに時間がかかります。
ファミリーが多い、戸建て志向が強いなどのエリアごとの特性と世の中の流れを踏まえながら、今の情勢で3カ月以内に売却できそうな価格を算出するもので、これは日頃から不動産取引に接しているプロならではのものだと言えます。
自宅の売却を考えている場合であれば、不動産会社の無料査定で全く問題ないと言ってよいでしょう。
5. 査定を賢く活用する方法
続いて、不動産査定を賢く活用する方法をお伝えします。
5-1. 不動産会社の見極めに役立てよう
不動産会社の査定を受けた後は、査定価格の提示を受け、複数の不動産会社の査定を受けている場合は、その中から気に入った不動産会社と媒介契約を結ぶことになります。不動産会社の査定は、自宅の相場を把握するものであると同時に、「よりよい不動産会社を見つけるためのもの」だと考えるとよいでしょう。
なお、不動産会社を見極める際に、「査定額」のみを根拠にしてしまうのはあまりおすすめしません。査定額はあくまでも不動産会社の見立てであり、実際の売買価格とは差が出ることも多いからです。査定について不動産会社の担当者から話を聞く時に、丁寧な説明をしてくれるかなど、不動産会社の対応をしっかり見極めたり、過去の実績などを参考したりするとよいでしょう。
5-2. 実績のある不動産会社に査定依頼しよう
自宅の売却を成功させるためには、価格査定時によりよい不動産会社を見極めることが重要なポイントとなります。
よりよい不動産会社を見極めるポイントとして、「実績のある不動産会社を選ぶこと」が挙げられます。具体的には、老舗の不動産会社や、その地域で手広く展開している不動産会社を選べばよいでしょう。長く、手広く不動産業を営んでいるということは、それだけ多くの利用者に選ばれていることの証しだと言えます。
加えて、ご自身が売却したい自宅の大きさや価格帯、シングルタイプ、ファミリータイプ、エリアなどの売却実績を見て、その会社の得意分野も確認するとよいでしょう。
たとえば30坪1,000万円の物件と50坪3,000万円の物件では、売却の仕方や顧客が大きく異なります。また、エリアによって慣習や客層が大きく異なることも珍しくありません。不動産会社の実績を見る際は、売却予定の自宅と似たような条件の物件の売却実績がどのくらいあるか確認することが大切です。
5-3. 企業の規模はあまり気にしない
一言で不動産会社と言っても、全国展開している大手や、地元の大きな不動産会社、規模を問わず地域に密着した不動産会社など、いくつかのタイプがあります。何となく大手の会社に頼んだほうが安心だと感じる方も多いかと思いますが、不動産の売買においては、企業の規模そのものはあまり気にしなくてよいでしょう。
大手の不動産会社の社員は確かに教育が行き届いていることが多いですが、不動産の売買が成立するかどうかは、よりよいお客さまを持っているか、もしくは集められるかによるところが大きいです。
その点、大手の不動産会社であっても、エリアによっては十分な売買実績がないケースもありますし、地元密着の小さな不動産会社でも、昔からのお客さまを多く抱えているようなケースもあります。
なお、より有効な活用法としては、「大手の不動産会社から1社」、「地元の有力な不動産会社から1社」、「地元密着の小規模不動産会社から1社」など、企業の規模や特徴ごとに分類し、それぞれと媒介契約を結ぶという手もあります。
そうすることで、例えば「大手不動産会社だから県外客にも有効」、「地元密着の小さな不動産会社は、昔から地元とのお付き合いが多い」など、それぞれ異なる層のお客さまを保有している可能性が高いからです。
ちなみに、媒介契約には「一般媒介契約」と「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があり、この内「一般媒介契約」のみ複数社と契約できます。
1社とだけ契約すると、不動産会社としては仲介手数料を受け取れる可能性が高まるため、懇切丁寧な対応が期待でき、複数社と契約すると各不動産会社が保有する顧客にアプローチできるなど、それぞれにメリットがあるため、状況に応じて選択するとよいでしょう。
5-4. 査定を活用して、不動産売却を成功する
自宅の売却は、不動産会社とその担当者など、有望なパートナーを見つけられるかどうかで成功の可否が決まるといってもよいでしょう。というのも、一度媒介契約を締結した後は、自宅売却に関するほとんどのやり取りをその不動産会社に任せてしまうからです。
そして、有望なパートナーを見つけるためには、賢く査定を活用することが欠かせません。
よりよい不動産会社をどのように見極めればよいか、ポイントをいくつか解説しましたが、実際にそのような不動産会社を見つけるために活用したいのが「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」です。
HOME4Uで査定依頼を出すと、登録している1,800社の提携会社の中から物件の種類や特徴に応じて、該当物件の不動産売却を得意とする会社がマッチングされ、その中から査定を依頼したい会社を選ぶことができます。
地元にある全ての不動産会社の中からよい不動産会社を厳選するとなると大変ですが、HOME4Uを活用すれば、プロが厳選した不動産会社の中から媒介契約を結びたい会社を見つければよいだけです。
「HOME4U」を利用すると、自宅の売却が成功する可能性は大きくアップすると言えるでしょう。
まとめ
自宅売却時の価格査定について、なぜ無料で利用できるのかという理由や、有料の不動産鑑定との違い、賢く無料査定を利用するポイントなどをお伝えしました。
自宅の売却を成功させられるかどうかは、よい不動産会社を見つけられるかどうかにかかっています。そのために、賢く査定を活用することが求められるでしょう。自宅の売却をより早く進め、より高額で売却できるよう「HOME4U」を活用してみてください。