老後に必要な生活費とは?夫婦・単身別の平均とシミュレーション方法

老夫婦

老後の生活費は何が一番かかるんだろう?
老後の生活費のためにどのくらい資金を用意しておけばいいのだろう?

日本人の平均寿命は年々伸び続けており、定年退職して年金暮らしとなった後も、長い第二の人生が待っています。となると、老後の生活費についてしっかりと確認をしておきたいですよね。

「老後30年間に約2,000万円の金融資産が必要になる」という金融庁の報告書(2019年6月3日付)も大きな話題になりましたが、実際のところは、持ち家の有無や退職金額、再雇用制度利用等の条件によって、生活費のためにどれくらいの資金を用意しておけばいいのかはケースバイケースとなります。

そこで、この記事では、

・調査結果からわかる老後にかかる平均的な生活費
・老後に自分が必要とする生活費を試算する方法

をご紹介します。

これらを知ることで、老後の生活費についてある程度把握することができ、将来の生活についてのシミュレーションを行うことが可能になります。

1. 老後にかかる生活費|夫婦・単身別の平均と内訳

マネープランニング個人個人の老後にかかる生活費のシミュレーションを行う前に、まずは平均値をご紹介します。平均的な老後の生活について知っておくことで、浪費傾向がある方は自戒できるようになりますし、老後のレジャー計画を立てる際にも役立ちます。

1-1. 夫婦二人暮らしの場合の生活費は平均月額「約24万円」

高齢夫婦二人の世帯の生活費の平均は以下のようになっています。

◉高齢夫婦無職世帯の家計収支

食費

65,319円

住居費

13,625円

水道光熱費

19,905円

家具・家事用品

9,385円

被服等

6,171円

保健医療費

15,181円

交通・通信費

28,071円

教育・教養娯楽費

24,241円

交際費

25,596円

その他支出

28,128円

合計

235,615

出典:総務省統計局 家計調査年報 2018年(平成30年)「II総世帯および単身世帯の家計収支」19ページ

公益財団法人 生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査/令和元年度」によると、夫婦2人で老後生活を送るうえで必要と考える最低日常生活費は月額で平均22.1万円となっています。

総務省の統計結果の額と合わせて考えると、夫婦二人世帯の場合、最低限必要な老後の生活費は月額で22万〜24万円と言えます。

1-2. 一人暮らしの場合の生活費は平均月額「約15万円」

単身者の場合の生活費の平均は以下のようになっています。

高齢単身無職世帯の家計収支

食費

36,378円

住居費

18,268円

水道光熱費

13,109円

家具・家事用品

4,780円

被服等

3,766円

保健医療費

8,286円

交通・通信費

14,405円

教育・教養娯楽費

17,082円

交際費

18,281円

その他支出

15,248円

合計

149,603

出典:総務省統計局 家計調査年報 2018年(平成30年)「II総世帯および単身世帯の家計収支」19ページ

単身者の場合は、住居費、水道・光熱費等が夫婦二人よりも負担増となりやすく、全体の収支においても、夫婦二人世帯よりも生活費が多い傾向になります。

1-3. ゆとりのある老後に必要な生活費は月額「約36万円」

平均的な老後の生活費が分かったと思います。しかし、老後はゆとりを持って生活したいと考えている方もいるのではないでしょうか。

実際にゆとりある老後を過ごすために必要な生活費はどれくらいなのか見ていきましょう。

公益財団法人 生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査/令和元年度」では、夫婦二人世帯において、ゆとりある老後生活を送るため、最低限必要になる生活費に「上乗せしたいと考えている金額」は、平均で14万円となっています。また上乗せしたい額の使い道の内訳は以下のようになっています。

ゆとりある老後のために、上乗せしたいと思う額の使い道

 

(複数回答 単位:%)

旅行やレジャー

60.7

趣味や教養

51.1

日常生活費の充実

49.6

身内とのつきあい

48.8

耐久消費財の買い替え

30.0

子供や孫への資金援助

22.4

隣人や友人とのつきあい

15.5

とりあえず貯蓄

3.7

出典:公益財団法人 生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」

1-1.でご紹介した額(最低限必要となる生活費)に上乗せ額の14万円をプラスすると、

ゆとりある老後を送るための生活費は月額約36万円(夫婦二人世帯の場合)となります。

2. 老後の生活費をシミュレーションする2つのステップ

電卓平均値がわかったところで、あなた自身の生活費を試算してください。

・支出を知る
・計算する

簡単にこの2ステップにまとめました。

必要であれば、過去の家計簿や計算機、筆記用具などを用意してスタートしてください。

2-1. 【支出】老後にかかる毎月の生活費を知る

1章でご紹介した平均値やご自分の家庭の過去の家計簿などを参考にして、おおよその生活費を書き出してください。

食費

住居費

水道光熱費

家具・家事用品

被服等

保健医療費

交通・通信費

教育・教養娯楽費

交際費

その他支出

小遣い・貯蓄等

合計

生活費は一生同じではありません。年齢を経ることで、食費や交際費などは減っていく傾向がありますし、逆に医療費などは、60代と80代では大きく変わってきます。お住まいの地域にもよりますが、病院通院のための交通費なども、年齢を経るごとに増加していく可能性が高いはずです。

先輩にあたる年上のシニア世代に、現在の生活費の内訳(たとえば医療費が全体の生活費の中で占める割合など)を聞いてみたり、できれば、60代、70代、80代と年代ごとの生活費をシミュレーションしてみることをおすすめします。

2-2. 【計算】あなたの老後の生活費はこれだけかかる

2-1.で出した生活費の合計は1ヶ月にかかる生活費なので、それに月と年を乗じます。

◉計算式

毎月の生活費 × 12ヶ月 × 老後生きる年数
= 老後生活費の総額

老後生きる年数は個人によって異なり、またはっきりと確定しているわけではないので、80歳、90歳、100歳と3パターンで計算してみましょう。

計算例/現在65歳 毎月かかる生活費の合計額が20万円(夫婦二人世帯)だった場合

20万円×12ヶ月=240万円(年間の生活費)

80歳まで  240万円×年数15年=3,600万円
90歳まで  240万円×年数25年=6,000万円
100歳まで 240万円×年数35年=8,400万円

夫婦二人でこれだけの生活費がかかることになります。

3. 安心して老後を迎えるために老後の収入源を把握しよう

年金手帳ここまでは支出についてでしたが、ここでは収入源について把握します。老後の収入源は数種類になりますが、ここでは、収入源の中でも大きな柱となる

・公的年金
・再就職による収入
・退職金

の3つについて平均額などを紹介しながら解説し、最後にご自身の収入源を把握していただきます。

3-1. 公的年金

公的年金は、リタイア後の主な収入となります。

公的年金の平均受給額は以下のようになっています。

厚生年金 
平均支給月額/147,051円(全体)
平均支給月額/165,668円(男性)
平均支給月額/103,026円(女性)

国民年金
平均支給月額/55,615円(40年間満額支払いの場合、支給額64,941円)

出典「厚生年金保険・国民年金事業年報(平成29年度)」

受給できる年金の額は、厚生年金の場合は現役時代の報酬額によって、国民年金の場合は納付期間によって変わります。

自分がもらえる年金額を正確に知りたい場合は、日本年金機構の「ねんきんネット」で試算してみましょう。※利用するには、ユーザー登録が必要です

日本年金機構 年金見込額の試算

3-2. 再就職による収入

再就職して働くことも高齢者にとって大切な収入源です。定年後も働くことで、老後の生活にゆとりが生まれます。しかし、定年後の再就職では、かなり収入が減ると言われています。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構 高年齢者の雇用に関する調査(企業調査)によると、フルタイム勤務の継続雇用者の定年時と定年後の賃金を比較した結果は、60歳直前の水準を100とした場合「60以上70未満」にあたるという企業が18.3%で最も多く、次いで「70以上80未満」16.4%、3番目が「80以上90未満」11.4%となり、「100」と回答した企業は10.8%で、回答の得られた4,488社の平均値は73.5でした。(2015年7月の調査結果)

つまり、定年後の賃金は、定年前にもらっていた賃金から3〜4割程度減ってしまうということです。

これを念頭に入れて、試算してみましょう。

◉計算式

定年前の収入の7割の年収 × 働こうと思っている年数 = 再就職による収入

ここで気をつけたいことは、あまり稼ぎ過ぎてしまうと年金が減らされてしまうことがあるということです。

定年後に働いても年金は支給されますが、収入が一定額以上になった場合には「在職老齢年金」という制度によって年金の支給額が減らされたり、場合によっては年金の支給が停止してしまう場合もあります。

気になる方は、年金が減らされてしまわないように勤務時間数を調整するようにしてください。

◉在職老齢年金制度の概要

【60歳以上65歳未満の方】
ひと月に支給される年金の額と、ひと月の報酬額の合計が28万円以上になると、支給される年金額の調整が始まり、月間収入の合計額が47万円(平成31年度の場合・年度によって改定される可能性有)に達すると年金支給が停止となる。

【65歳以上の方】
65歳以上の方は、月額の年金と報酬額の合計が47万円(平成31年度の場合・年度によって改定される可能性有)を超えなければ年金は全額支給。

くわしい計算方法については以下のサイトを参考にしてください。

在職老齢年金の支給停止の仕組み

日本年金機構 在職老齢年金の支給停止基準額が平成31年4月1日より変更になりました

日本年金機構「老齢年金ガイド 平成31年度版」

しかし、シニアの勤労意欲を削いでいる原因とされている在職老齢年金制度は、廃止や縮小の検討が本格的にスタートしています。

参考:在職老齢年金制度の見直し – 厚生労働省

早ければ来年度(令和2年)に制度改正が行われる可能性がありますので、老後の収入は今後、増える可能性があります。

3-3. 退職金

もらえる退職金の額は、ゆとりあるセカンドライフが送れるかどうかを左右します。老後の生活費は退職金だけで足りるのか、それとも足りないのかを把握しておくことで対策を講じることができます。

退職金の平均額は次のようになっています。(勤続35年以上の場合)

大学・大学院卒(管理・事務・技術職)

2,173万円

高校卒(管理・事務・技術職)

1,954万円

高校卒(現業職)

1,629万円

出典:厚生労働省 平成30年就労条件総合調査 結果の概況

自分自身がもらえる退職金の額は、勤務先の退職金規定を確認するなどして早めに確認することをおすすめします。

3-4. あなたの老後の収入源を整理する

公的年金、再就職による収入、退職金の他にも、配偶者も働く場合は「配偶者の収入」が得られますし、株式などいわゆる不労所得からの収入があるケースもありますから、しっかりと把握しておくようにしてください。

では、あなたの収入源をここで整理しておきましょう。

公的年金

再就職等による収入

退職金等

配偶者の収入

その他収入(不労所得など)

合計

公的年金と再就職による収入との関係は、3-2.のコラムでご紹介した通り、在職老齢年金制度によって金額が左右されますので、よく確認してください。

4. 【3つのケース別】ゆとりある老後の生活ができる不動産の整理・処分・活用方法

住宅ゆとりある老後の生活のためには、今から準備が必要です。そのために所有している不動産をどう整理・処分、あるいは活用すればいいかは大きな課題になるはずです。

なぜなら、売却等を行うことで大金が得られ、ゆとりある老後の資金対策にできるからです。また不動産は相続問題に絡んできますので、今から処分方法を考えておくことは、ご家族のためにも決して早過ぎるということはありません。

ここでは、3つのケースごとに不動産の整理・処分・活用方法をご紹介します。ご自身の状況や、老後に希望する生活スタイルなどを考慮しながら検討してください。

4-1. 家が広すぎて持て余しているなら/マンション・コンパクトな家に住み替え

子供たちが成人し巣立っていった後の家は、夫婦二人だけとなってスペース的に持て余し気味になります。仮にどちらかが亡くなってしまったら、ひとりで維持管理をすることになってしまいます。

思い出の詰まった家に年を取ってからも住み続けたいという気持ちもわかりますが、大きく広い家は加齢に伴って身体的に負担となります。二階への登り降り、広い部屋の掃除やメンテナンスなど、足腰が弱ってからはとても辛いものです。

思い切って、もっとコンパクトな家やワンフロアで暮らせるマンションへの住み替えを考えてみることをおすすめします。

老後に住み替えを考えるのであれば、以下の記事を参考にしてください。

老後はマンションを選ぶ人が多い!?マンション・戸建てを徹底比較

4-2. 介護施設に入居予定なら/売却・賃貸活用

介護施設への入居を考えている場合、サービスの行き届いた施設への入居を希望しているのであれば、ある程度の資金を用意する必要があります。

子供たちはすでに所帯を持ち家も所持していて、自宅の相続を考えていないのであれば、売却もしくは賃貸活用をおすすめします。

【自宅の売却】
自宅を売却することで、施設の入居費用にするとともに、老後の生活資金にできます。

また、家を売ってしまえば、相続関係で悩むことがなくなり、万が一の際にも残された家族が自宅の処分に苦労することもなくなるので安心です。

不動産売却をする場合に必ず行いたいステップが不動産査定です。

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信頼性の高いHOME4Uをぜひご利用ください。

【自宅の賃貸活用】
自宅を賃貸活用することで、自宅は確保しつつ生活資金を家賃収入から賄うことができます。ただし、賃貸活用できる物件には条件があります。借り手がつきにくいと思われる物件の場合は、賃貸活用はおすすめしません。

賃貸活用に向く物件は、

・最寄駅から近い、交通の便が良い(徒歩10分以内が望ましい)
・物件の周辺エリアの利便性が高い(コンビニ・スーパー・公共機関等まで近い)
・建物の築年数が短い(老朽化した建物はリフォーム等が必要になり費用がかさむため)

等です。

家を貸したいという方は、「賃貸経営 HOME4U」を活用して、賃貸を得意とする不動産会社を探すことをおすすめします。HOME4Uなら、はじめて家を貸したい方でも安心して依頼できる賃貸の仲介・管理に強い会社を簡単に探すことができ、家賃はもちろんサービスの違いなどを比較することで、条件や希望に合った最適な不動産会社がみつかります。

4-3. 土地を所有しているのなら/賃貸住宅もしくは賃貸併用住宅で賃貸収入を得る

自宅とは別に土地を所有しているという方は、賃貸住宅や賃貸併用住宅を建てて賃貸収入を得るという方法もあります。ただし、4-2.でもご紹介しましたが、借り手がつきにくい場所に土地がある場合には、賃貸活用は難しくなりますので注意してください。

土地の活用方法は、その土地の立地条件などによって異なりますので、専門家への相談をおすすめします。

【土地活用】
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【賃貸併用住宅】
賃貸併用住宅とは、「自身(オーナー)の住まい」と「賃貸物件」が併設した住宅のことです。基本的に建物の形状や間取りに決まりはなく、2階建て・3階建て・中高層タイプなどがあります。

たとえば、2階建ての場合は1階を賃貸・2階を自宅として使用したり、逆に1階を自宅・2階を賃貸としたりできます。中高層タイプの場合は、建物の一部を自宅として使います。

◉賃貸併用住宅のメリット
・家賃収入が得られる
・住宅ローンを利用して賃貸併用住宅全体を建てることが可能
・節税効果が高い

◉賃貸併用住宅のデメリット
・建築費用がかかる
・ランニングコストがかかる
・空室の発生・家賃滞納のリスクがある

賃貸併用住宅について知りたい人におすすめ!

まとめ

いかがでしたか。

老後にかかる生活費は、

・夫婦二人暮らしの場合 平均月額「約24万円」
・一人暮らしの場合   平均月額「約15万円」

そして、ゆとりのある老後に必要な生活費は月額「約36万円」(夫婦二人世帯の場合)でした。

また、所有している不動産をうまく整理・処分・活用することによって、ゆとりあるセカンドライフを可能にします。以下の3つのケースを参考にしてください。

1.家が広すぎて持て余しているなら/マンション・コンパクトな家に住み替え
2.介護施設に入居予定なら/売却・賃貸活用
3.土地を所有しているのなら/賃貸住宅もしくは賃貸併用住宅で賃貸収入を得る

人生の終わりに向かい、不動産をどうするのかは大きなテーマになります。売却、賃貸活用、土地活用に迷っているのであれば、ぜひ一度、不動産の総合情報サービス「HOME4U」にご相談ください。

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