
不動産を売却するのに「どんな手数料がかかるのか」「いくらぐらい手数料がかかるのか」といった疑問をお持ちの方は少なくないでしょう。
はじめに「どんな手数料がかかるのか」についてお伝えしてしまうと、不動産会社に不動産の売却を依頼した場合には「仲介手数料」がかかります。不動産の売却にかかる手数料といえば、この「仲介手数料」のことを指します。
その他、仲介手数料以外にも司法書士報酬、測量費などの費用がかかる可能性があります。また不動産を売却したときには税金もかかります。このあたりの内容について詳しくは、本記事で紐解いてまいります。
この記事では、
・そもそも不動産売却にかかる仲介手数料とは何か
・いくらくらい仲介手数料がかかるのか
・いつ仲介手数料を支払う必要があるのか
・仲介手数料以外にかかる費用や税金
などについて、プロが徹底解説してまいります。
不動産の売却にかかる仲介手数料について、また、不動産の売却にかかる費用や税金について調べている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 不動産の売却にかかる「仲介手数料」とは?
「仲介手数料」とはズバリ、不動産会社に支払う報酬のことです。
不動産会社に依頼をして建物や土地などの不動産を売却した場合は、不動産会社に仲介手数料を支払うことになります。
仲介手数料=不動産会社の利益というわけではありません。仲介手数料には、売却活動にかかる費用も含まれています。
【仲介手数料に含まれる費用例】
・広告制作費
・チラシ等の配布費
・購入希望者の内覧対応費や条件交渉費
・売買契約書の作成費 ほか
※仲介手数料に何の費用が含まれているかは不動産会社によって異なります。
※「遠隔地での交渉を依頼する」「特別にお願いをして広告出稿してもらう」など、一般的な売却活動以外の+αのサービスをお願いする場合は、仲介手数料とは別に費用を請求されることもあります。
ちなみに、不動産会社には依頼をせずに、売主と買主が直接取引をする場合には、仲介手数料はかかりません。とはいえ、素人が直接取引をするのは難しいため、不動産会社に売買の仲介を依頼するのが一般的です。
多くの場合、不動産を売却するときに最もかかる費用が仲介手数料となります。実際に「仲介手数料がいくらかかるのか」については2章にて解説いたします。
2. 仲介手数料の妥当額はズバリいくら?
この章では、「仲介手数料がいくらぐらいかかるのか」「自身の仲介手数料を計算式で簡単に求める方法」をご紹介いたします。
2-1. 不動産の売却額によって仲介手数料の額が変わる
仲介手数料の額は、不動産の売却額によって変わります。不動産の売却額が高額であるほど、仲介手数料も高額となります。
下記、不動産の売却額別に仲介手数料の上限額(※)をまとめています。
「いくらで売却できた場合に、いくらぐらい仲介手数料がかかるのか」の参考情報としてご活用ください。
※下記に記載している仲介手数料は、上限額です。たとえば1,000万円で不動産を売却した場合に、「360,000円+消費税」を超えた仲介手数料がかかることはありません。「360,000円+消費税」以下となることはあります。「なぜ上限額なのか」については、2-2にて解説をしております。
[仲介手数料(上限額)の早見表]
不動産の売却額 |
仲介手数料(上限額) |
1,000万円 |
360,000円+消費税 |
2,000万円 |
660,000円+消費税 |
3,000万円 |
960,000円+消費税 |
4,000万円 |
1,260,000円+消費税 |
5,000万円 |
1,560,000円+消費税 |
6,000万円 |
1,860,000円+消費税 |
7,000万円 |
2,160,000円+消費税 |
8,000万円 |
2,460,000円+消費税 |
9,000万円 |
2,760,000円+消費税 |
1億円 |
3,060,000円+消費税 |
2億円 |
6,060,000円+消費税 |
3億円 |
9,060,000円+消費税 |
[補足]消費税の増税が仲介手数料に及ぼす影響は小さい
「2019年10月の消費税10%への引き上げによって、仲介手数料も相当に高くなってしまったのでは…?」と不安に思われている方もいるかもしれませんが、消費税の増税が仲介手数料に及ぼす影響はさほど大きくありません。
具体的な数字で考えてみましょう。
例えば不動産を5,000万円で売却したとします。上記の早見表の通り、仲介手数料(上限額)は「1,560,000円+消費税」となります。消費税が10%に引き上げられたことで、「+消費税」の額がどのぐらい上がったのかを計算をしてみると…
【不動産を5,000万円で売却】
・消費税8%の場合/1,560,000円×8%=消費税124,800円
・消費税10%の場合/1,560,000円×10%=消費税156,000円
その差額は31,200円。つまり、消費税が8%⇒10%に引き上げられたことで増額した仲介手数料の額は、わずか31,200円程度だということです。
もしかすると「数万円も違う!」「数万円の差は大きい!」と思われるかもしれませんが、気にするべきは、仲介手数料よりも、不動産の売却額です。
たとえば、不動産が5,000万円ではなく、5,500万円で売却できたとしたら、どうでしょう。不動産の売却においては、消費税でわずかに増額する仲介手数料を気にするよりは、少しでも高く不動産を売却することを考える方が得策であることは、明らかです。
2-2. より正確な仲介手数料の額を知りたい場合は簡単に計算もできる
所有している不動産の売却額がわかっている場合は、より正確に「仲介手数料の上限額」を算出することができます。
計算式は、下記の通りです。
[仲介手数料の上限額(宅地建物取引業法)]
不動産の売却額 |
仲介手数料(上限額) |
200万円以下の金額 |
売却価格の5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の金額 |
売却価格の4%+20,000円+消費税 |
400万円を超える金額 |
売却価格の3%+60,000円+消費税 |
【参考】国土交通省
例)55,000万円で不動産を売却した場合
上記表の不動産の売却額が「400万円を超える金額」にあてはまります。
したがって計算式は、
55,000,000円×3%+60,000=1,710,000円
1,710,000円×消費税10%=171,000
1,710,000+171,000=1,881,000
仲介手数料の上限額は、1,881,000となります。
2-1&2-2と不動産を売却したときにかかる仲介手数料の「上限額」についてお伝えいたしましたが、「なぜ上限額なのか」疑問に思われている方も少なくないでしょう。
その理由は、宅地建物取引業法で定められているのが、「不動産の売却にかかる仲介手数料の上限額だけ」だからです。仲介手数料については、上限額以外に法律の定めはありません。
※宅地建物取引業法で定められている仲介手数料の上限額は、2-2の表で示した通りです。
【補足】400万円以下の不動産を売却する場合、+αのお金がかかる可能性も!
不動産の売却価格が400万円以下の場合、不動産会社は通常の仲介手数料(上記の上限額)に加えて、現地調査費等の費用相当額を請求することができます。
(「空家等の売買又は交換の媒介における特例」や「「低廉な空き家等の売買に関する特例」と呼ばれていますが、空き家以外の宅地や建物も対象です)
ただし、不動産会社が請求できる金額には上限があり、通常の仲介手数料(上記の上限額)と現地調査費等の費用相当額の合計が「18万円+消費税」以下となっています。
400万円以下の不動産を売却する場合にかかる仲介手数料
=通常の仲介手数料(上記の上限額)+現地調査等の費用相当額≦18万円+消費税
つまり、400万円以下の不動産を売却する場合は、最大18万円+消費税の仲介手数料がかかる可能性があるということです。
【参考】国土交通省
3. 仲介手数料はいつ支払うのが正解?
この章では、「いつ仲介手数料を払うことになるのか」仲介手数料を支払うタイミングについてご紹介いたします。
3-1. 仲介手数料は成功報酬
押さえておきたいのは、仲介手数料は「成功報酬」だということです。成功報酬ということはつまり、買主が無事に見つかり、不動産の売買契約を締結できたときにはじめて、支払うことになります。裏を返せば、仲介手数料は不動産の売買契約を締結できるまで支払う必要はないということです。
また、成功報酬のため、複数社に不動産の売却を依頼していた場合も、売買契約の締結させてくれた不動産会社以外の会社には、仲介手数料を支払う必要はありません。
3-2. 売買契約後と残代金決済時に分けて支払うケースが多い
具体的に、どのタイミングで仲介手数料を支払うことになるのか気になっている方もいるでしょう。
ズバリ、具体的には下記2回のタイミングに分けて支払うのが一般的です。
・契約がまとまった売買契約後|半分(50%)支払う
・残代金決済(引き渡し)時|残りの半分(50%)を支払う
不動産会社によっては、引き渡し時に一括での支払いとなることもあります。
3-3. [参考]契約解除した場合に支払済の仲介手数料は取り戻せる?
3-1でご紹介した通り、仲介手数料は成功報酬です。そして、成功の判断基準は、「不動産の売買契約を締結」。つまり、不動産の売買契約を締結した時点で、仲介手数料を支払わなければならないということです。
仮に、不動産の売買契約後に自身(売主)が契約を解除した場合も、買主に契約を解除された場合も、不動産会社に落ち度がない場合は、基本的に仲介手数料は支払う義務があります。
ただし、買主がローン特約を利用して契約を解除した場合は、仲介手数料を支払う必要はありません。支払い済みの仲介手数料は取り戻すことができます。
※ローン解除とは、住宅ローンの融資審査に通らなかった場合に、売買契約を白紙撤回できる特約のこと
4. 仲介手数料以外にも!不動産の売却にかかる費用&税金
不動産を売却するのに、仲介手数料以外にも、費用や税金がかかります。この章では、具体的にどんな費用や税金がかかるのかご紹介いたします。
4-1. 不動産の売却にかかる「費用」まとめ
不動産を売却する際には、仲介手数料以外にも、様々な費用がかかることがあります。
どの費用がかかるかはケースバイケースです。
司法書士報酬
相場価格:「不動産の抵当権抹消」約1~2万円、「相続登記(申請のみ)」約4~10万円、「登記名義人住所・氏名変更登記」約1~2万円
不動産を売却する際には「不動産の抵当権抹消」、相続した不動産を売却する場合は「不動産の相続登記(名義変更)」が必要となります。また、売主の転居や結婚などで、住所や氏名が登記簿と異なる場合には、売却前(所有権移転登記前)に変更が必要です。これらを司法書士に依頼した場合は、司法書士への報酬がかかります。さらに、それぞれ別途、不動産の数に応じて登録免許税(4-2参照)もかかります。
※司法書士報酬は各司法書士が自由に設定できるため、同じ依頼内容でも、司法書士によって価格が大きく異なることがあります。
測量費
相場価格:約35~80万円
土地の面積や隣地との境などがあいまいな場合、これらを明確にするために測量を実施することになります。測量は、測量士や土地家屋調査士などのプロに依頼します。
解体費
相場価格:木造の場合は約4~5万円/坪、鉄筋コンクリートの場合は木造の倍ほど
建物を解体して土地だけを売却する場合は、建物の解体費がかかります。ただし、解体費は必ずしも売主が負担するとは限りません。売主が負担するケースもあります。
家財道具の処分費
相場価格:17~50万円(一軒家の場合)
建物に残っている家財道具の処分を業者に依頼する場合は、家財道具の処分費がかかります。なお、建物を解体する場合も、建物に残っている家財道具は持ち出すか、処分する必要があります。
ハウスクリーニング費
相場費用:ハウスクリーニングをする場所や広さ等によって大きく異なる
業者にハウスクリーニングを依頼する場合は、ハウスクリーニングの費用がかかります。ハウスクリーニングは絶対に必要というわけではありませんが、買主をイチ早く見つけるために、また少しでも高く売却するために、内覧前にハウスクリーニングを依頼するケースは少なくありません。
引っ越し費用(運送費用)
相場費用:荷物の量や引っ越し先までの距離などによって大きく異なる
現在暮らしている住まいを売却する場合、売却する建物にモノが置いてある場合などは、引っ越し費用(運送費用)がかかります。また、新居の完工前に現在の住まいを引き渡すことになった場合は、仮住まい先への引っ越し費用や、仮住まいの家賃などがかかることもあります。
4-2. 不動産の売却時には「税金」もかかる
不動産を売却した時には、税金がかかります。かかる税金は1種類ではありません。具体的には、不動産を売却すると下記の税金がかかる可能性があります。
[売買契約前後にかかる可能性のある税金]
・印紙税
・登録免許税
[不動産売却後にかかる可能性のある税金]
・住民税
・所得税
・復興特別所得税
上記すべての税金がかかるわけではありません。売却額や諸条件によっては、税金がかからないこともあります。
不動産売却した際にかかる税金について知りたい方におすすめ
5. 不動産売却で損をしないためには不動産会社選びが重要!
不動産売却で損をしないためには、費用や税金などを抑えつつ、少しでも高額で売却することを考えるのが得策です。そして、不動産を少しでも高額で売却するためには、高額で売却してくれる不動産会社を選ぶことが非常に重要となります。
不動産売却が得意な不動産会社には、以下4つの特徴があります。
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・類似物件の過去の実績が豊富
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※上記の内容について詳しくは、下記の記事をご覧ください。不動産会社の選び方について詳しく解説しております。
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まとめ
不動産の売却にかかる仲介手数料について解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
一般的に不動産を売却する際に、最も高額となる費用が「仲介手数料」です。
仲介手数料の額は、不動産の売却額によって異なります。不動産の売却額が高額となるほど、仲介手数料も高額となります。2-1にて、どのぐらいの仲介手数料がかかるかが掴める[仲介手数料(上限額)の早見表]をご紹介しておりますので、ぜひチェックしてみてください。
また、3章では仲介手数料を支払うタイミング、4章では仲介手数料以外にかかる費用や税金についての情報をまとめております。ぜひ、参考にしてください。