
今までは、空き家は更地にしてしまうよりも建物をそのままにしておくほうが税金面で有利でした。
しかし、2015年5月に制定された「空き家対策特別措置法(通称・空き家法)」により、空き家を放置しておくと不利になる場合もあるようになりました。
そんな中、「所有している空き家をできるだけ早く確実に売却したい」と思っているが、どのように売却するのが一番良いのか分からないと悩んでいる方も少なくないでしょう
そこで本記事では、空き家を早く確実に売るのはもちろんのこと、できるだけ高く売るための秘訣をご紹介します。
以下の4つのことについて、理解し、実践することで空き家を一番良い形で売却することができます。
・空き家を売却するならとにかく早く売りに出すのが大切
・空き家は解体せずに売却したほうメリットが大きい
・空き家を早く高く売るための6ステップ
・空き家を売却する際に必ず押さえておくべき3つのこと
さらに、空き家の売却にあたり、知っておくべき税金の基礎知識もご紹介します。
空き家は、築年数や状態によっては、売り出すのが早ければ早いほど高く売れる場合もありますし、売却期間も短期間で済む可能性もあります。
売れにくい状態になってしまう前に、空き家の売却を早めに進めていきましょう。
目次
1. 空き家は放置せずにすぐに売却するべき!
冒頭でも述べましたが、空き家を放置しておくことには下記のようなデメリットがあるため、すぐにでも売却を決断するべきです。
◎空き家を放置した場合のデメリット
①空き家法の施行で、放置しておくと固定資産税が6倍になってしまう
建物が建っている土地は、土地の固定資産税率が最大で1/6まで優遇される特例があるため、空き家法の施行前は、更地にせずに放置された空き家が年々かなりの数増加してしまっていました。
しかし、空き家法が施行されてからは、空き家を放置して市区町村から改善勧告を受けてしまった場合は上記の特例の対象外となり、土地の固定資産税率が最大6倍に跳ね上がることになりました。
②空き家を維持管理する費用負担が膨大になる
人が住んでいない建物を全くメンテナンスせずに放置してしまえば、あっという間に朽ち果ててしまいます。家の周りの樹木なども定期的に手入れを行わないと生い茂り、ネズミなどの害獣が住み着いて近隣の家に迷惑をかけてしまうことになりますから、ある程度費用をかけて維持管理をする必要があります。
しかし、維持管理の費用は、何年も続けていけば膨大な出費となってしまいます。
このように空き家を手放してしまえば、固定資産税に頭を悩ませることもなくなりますし、空き家を維持するコスト負担もなくなります。さらに、空き家を売却すればお金が手に入るというメリットもあります。
さらにもうひとつ、空き家の売却を急いだほうがいい理由があります。
それは、3000万円特別控除の特例を利用できるからです。
売却した場合、売却益3,000万円までの特別控除が適用されるというものです。転勤などで住まなくなったマイホームの空き家については、住まなくなってから3年目の12月31日までに売却することで特例が適用されます。
参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」
また、相続した空き家の売却については、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」が条件によって利用可能です。(2023年(令和5年)12月31日までの適用期間)
参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
本特例の利用要件等については、5章でくわしく解説していますので、ぜひチェックしてください。
2. 空き家の売却方法は解体しないで売るのが正解!?
空き家を売るのなら、解体して更地にしなくてはいけないと思い込んでいないでしょうか?
不動産物件には同じものが二つとないので、100%の正解はありませんが、急いで解体せずに空き家を残したまま売却したほうがメリットが多いと言えます。
◎空き家を残して売却したほうがいい理由
①解体には費用がかかる
空き家の解体には多額の費用がかかります。
【空き家の解体にかかる費用相場】
木造建築の場合/坪単価3万〜5万円が相場。鉄筋コンクリート造の場合/坪単価5万円~が相場。
解体せずに売却すれば、解体費用は買主が負担することになります。(ただし、解体費用分の値引きを迫られる場合も少なくないため、売却額が通常の土地付き建物に比べ安くなってしまうことも。)
②更地にしてから売れ残った場合、固定資産税が跳ね上がる(前年の6倍)
固定資産税は、その年の1月1日時点の不動産の状態で決まります。
仮に前年の秋頃に売却を考えて更地にしてしまったものの売れ残ったままで年を越してしまうと、住宅用地の負担調整措置が受けられなくなるので、固定資産税が前年の6倍になってしまいます。
③再建築不可物件の場合は売れなくなる恐れがある
空き家の中でもかなり築年数の古い家は、現在の建築基準を満たしていない場合がありますので注意が必要です。
再建築ができない物件(再建築不可物件)だった場合、現存している空き家を解体してしまうと、新しい家を建てることはできなくなり、なかなか買い手がつかなくなってしまいます。もし、再建築不可物件かどうか不明な場合は役所等に問い合わせてみることをお勧めします。
このように、空き家は焦って解体してしまわないほうがメリットが多いと言えます。
そのため、基本的に空き家は解体せずに売却を進めるようにしましょう。
~解体したほうがよいか迷う物件はどうする?~
もちろん、物件の状態によっては更地にしたほうが売れる場合もあります。
所有している空き家を解体したほうがいいか迷っている場合の判断基準は、下記3点です。
・建物の傷みが激しい
・周辺に被害が出そうなくらい荒れ果てている
・あきらかにボロボロで、今にも崩れそうな倒壊の危険がある建物
上記のような状態であれば解体した方が売却しやすい場合があります。
ただし、売却を担当する不動産会社によっては、上記の様な場合でも、そのまま空き家を残して売却に出したほうが総合的に良いと判断されることもあります。
そこで、解体する前に、不動産会社に相談することをお勧めいたします。空き家や更地の売却実績のある不動産会社を探すには、一括査定サイトを利用します。
土地や建物の条件などを入力してそのエリアに対応する複数の不動産会社に査定依頼を行い、不動産会社を選んで相談することができます。
一括査定サイトを利用するなら、「HOME4U」がオススメです。HOME4Uには、下記3つの特徴があります。
☑️運営母体がしっかりしている
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☑️利用者のことを考えたサイト運営をしている
⇒サイトに登録しているのは、厳しい審査をクリアした信頼できる不動産会社だけ!
⇒利用者がなにか困ったときに相談できる「何でも相談窓口」を設置!
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⇒売却査定数 累積45万件(2021年6月時点)
さらに全国対応のため、ほとんどのエリアの物件で対応が可能です。
不動産会社を決めていない方は、HOME4Uを利用して、空き家の売却に最適な不動産会社に相談するようにしましょう。
3. 空き家を早く高く売却する6ステップ
空き家が建っている状態でも売却が可能だということがわかったところで、スムーズに高く売却する6つのステップをひとつずつご紹介します。
空き家であっても、基本的な売却の流れは、通常の不動産売却と変わりはありません。持っている不動産を早く高く売却するためにも、確実にこのステップを行なっていきましょう。
3-1. 物件(建物・土地)の相場を調べる
一番最初にすることは、相場価格を知ることです。少しでも早く高く売るためには、まず実際の市場の状況を客観的に把握して売れそうな金額を知っておくことがとても大切だからです。
相場価格を外した高額な売却価格を設定してしまうと、売れ残ってしまう恐れが出てきます。
逆に相場価格よりも安く設定すれば早く売れるかもしれませんが、結果的に損をしてしまいます。
建物に価値があるような場合は、建物を含めた相場をおさえておくとよいでしょう。一方、1章でご紹介したように解体したほうがよいかどうか迷うような空き家の場合は、土地の相場を参考にします。
相場価格を知り、相場価格から外れないように売却価格の設定を行うことが非常に重要です。
◎物件・土地の相場を調べる方法
国土交通省の「土地情報システム」を使うと、過去数年の成約価格や取引状況を調べることができ、そのエリアの数年分の平均単価をグラフで見ることができ、変動状況も知ることができます。
空き家の中でも、築年数が概ね30年以上経過している建物は、ほとんど価値がないものとみなされる場合が多いので、「土地と建物」もしくは「土地」のみの相場を調べます。相場を調べる手順は下記を参考に進めてください。
(1)以下のサイトにアクセスします。
(2)左側「不動産取引価格情報検索」をクリックします。
(3)左側の囲みの上から ①取引時期 ②種類(「土地」もしくは「土地と建物」)③地域 を選んで検索します。
(4)選んだエリアの取引情報が出てきます。
3-2. 一括査定サイトを利用して査定を行う
相場価格を調べ終わったら、売却を依頼する不動産会社選びを始めます。
不動産会社を選定する方法ですが、一般的には、有力候補を3~6社に絞って不動産査定をお願いし、提出された査定額を比較・検討して、最終的に依頼する不動産会社を決めます。
必ず複数の不動産会社に査定を依頼することが大切な理由は、1社だけの査定額を相場と見比べでも、適正な査定額なのかがわからないからです。
また、複数の不動産会社に査定を依頼することで、算出された複数の査定額を横並びで検討することができ、適切な不動産会社を選定することが可能になります。
とはいえ、複数の不動産会社に1社ずつ査定を依頼するのは大変手間がかかりますから、不動産一括査定サイトを利用しましょう。
不動産一括査定サイトは無料で利用でき、情報を入力する数分間の手間だけで、複数の会社に査定依頼をすることが可能です。
時間をかけずにできるだけ早く高く売るためにも、不動産一括査定サイトをぜひ利用してください。
ここで信頼できる一括査定サイトを見極めるための3つのチェックポイントをご紹介します。
3つのチェックポイントで、信頼できる一括査定サイトを見極める!
☑️運営母体がしっかりしている
「一括査定サイトの運営母体が、どういう会社なのか」というのは、一括査定サイトの信頼性を見極める一つの指標となります。
やはり、一定の基盤のある会社の方が、より安心感があり、サービス内容においても充実度が高い傾向にあることは間違いありません。
☑️利用者のことを考えたサイト運営をしている
営利ばかりを重視するのではなく、“利用者のことも考えたサイト運営をしているか”というのは、一括査定サイトの信頼性を見極めるうえで非常に重要なポイントです。
具体的には、「サイトに登録する不動産会社をしっかり審査しているか」「不動産会社とのやり取りでトラブル等が発生した場合に、利用者が相談できる窓口を設けているか」は、必ずチェックしておきたいところ。
上記2つのポイントをチェックするだけでも、利用者のことを考えているか、そうでないかが見えてくるはずです。
☑️不動産の査定実績が豊富にある
実績は、それだけ多くの利用者に選ばれてきたという証でもあります。とすると、査定実績が豊富にある一括査定サイトの方が、より信頼できる可能性が高いというのは間違いないでしょう。
査定実績の確認方法ですが、多くの一括査定サイトがサイト内で謳っているので、それらをチェックするだけでも、実績の豊富さはおおよそ比較・検討できるはずです。
もしくは、インターネットの検索窓に「不動産 一括査定サイト 実績」といったキーワードを入れて検索をすると、一括査定サイトの実績を比較しているサイトも簡単に見つかります。
非常に信頼性の高い一括査定サイト「HOME4U(ホームフォーユー)」
☑️運営母体がしっかりしている
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ちなみに、HOME4Uのサービス内容は・・・
住所や間取り、築年数などの情報を入力すると、厳しい審査をクリアした信頼できる全国約1,800社(業界最大級)の不動産会社の中から、お持ちの物件の売却を得意としている不動産会社をHOME4Uのシステムが自動的にピックアップします。ピックアップした不動産会社に対して、最大6社にまとめて査定を依頼できます。
ぜひHOME4Uを利用して売却をスムーズに進めましょう。
3-3. エリアに強い不動産会社を選ぶ
査定を依頼した複数の不動産会社から査定結果が出揃ったら、比較・検討して売却を依頼する会社を選びます。
特に以下の3点に注意して不動産会社を選ぶようにしてください。
①査定額の根拠を具体的に説明してくれる不動産会社を選ぶ
不動産会社を選ぶ際に、参考にするウエイトが一番高くなるのは査定額ですが、“査定額が高ければ高いほどいい”というわけではないということを知っておきましょう。
査定額は、あくまでも売却可能であると予想される額であり、査定額そのままの金額で必ず売却できるというわけではないからです。
各不動産会社に提示された査定額をチェックする際には、「査定額が相場価格と大きくかけ離れていないか」「(なぜ、その査定額になったのか)査定額の具体的な根拠」は必ず確認するようにしてください。
査定額の根拠があやふやな会社に売却を依頼するのは避けてください。
②物件周辺エリアに強い不動産会社を選ぶ
空き家を売る場合は、売却物件の所在地一帯のエリア情報をよく掴んでいる不動産会社を選ぶことも重要なポイントになります。
なぜなら、地元密着の不動産会社は、そのエリアの土地や家の売買情報に熟知しているので、リノベーション目的で空き家付きの土地を探している顧客などの情報にも通じている可能性が高く、スムーズな売却が期待できるからです。
③信頼できる営業担当者がいる不動産会社を選ぶ
また、営業担当者の対応も重要なポイントとなります。
購入希望者(買主)と直接交渉することにもなる人物ですから、こちらの心配や不安にも寄り添い丁寧な対応をしてくれるかどうかまで、よくチェックしてください。
◎空き家の売却を依頼する不動産会社を選ぶポイントまとめ
- ・査定額が相場価格とかけ離れていないか?
・査定額の根拠をしっかりと説明してくれる会社か? ・物件周辺エリアの情報に強い会社か? ・営業担当者の対応は親切で丁寧か?人あたりよく、交渉能力に問題ないか?
3-4. 売り出し価格を決めて土地を売り出す
依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約(専属専任媒介契約/専任媒介契約/一般媒介契約のいずれか)を結び、ここから本格的な売却活動が始まります。
3種類ある媒介契約は、それぞれに特徴があり、メリット・デメリットがあります。考えている売却方針などを考慮してどの媒介契約を選べばいいか、よく検討してから選択してください。
◎専属専任媒介・専任媒介・一般媒介の違い
専属専任媒介 |
|
2社以上の不動産仲介会社と契約できるか |
×できない |
自分で買主を探して直接取引できるか |
×できない |
不動産仲介会社から受ける活動報告の頻度 |
1週間に1回以上 |
不動産仲介会社のレインズへの登録義務 |
媒介契約から5日以内 |
契約期間 |
3ヶ月以内 |
専任媒介 |
|
2社以上の不動産仲介会社と契約できるか |
×できない |
自分で買主を探して直接取引できるか |
◯できる |
不動産仲介会社から受ける活動報告の頻度 |
2週間に1回以上 |
不動産仲介会社のレインズへの登録義務 |
媒介契約から7日以内 |
契約期間 |
3ヶ月以内 |
一般媒介 |
|
2社以上の不動産仲介会社と契約できるか |
◯できる |
自分で買主を探して直接取引できるか |
◯できる |
不動産仲介会社から受ける活動報告の頻度 |
法令上の定めなし |
不動産仲介会社のレインズへの登録義務 |
法令上の定めなし |
契約期間 |
法令上の定めはないが、行政指導では3ヶ月以内 |
おすすめは専任媒介・専属専任媒介です。専任媒介・専属専任媒介の場合、媒介契約を結ぶことができるのは1社なので、不動産仲介会社が売却に積極的になってくれる傾向があるからです。
専任媒介・専属専任媒介契約を結んだ場合、最終的に売れなかった場合に買取保証をしてくれるといった特典を用意している会社もあります。
一般媒介契約は、所有物件が人気エリアにあり、確実に高価格で売れると判断できる場合などであれば、不動産会社が積極的に販売活動をしてくれるのでお勧めです。
売却活動がスタートすると、不動産会社から定期的に活動報告が入ります。活動報告の頻度は、契約内容によって異なります。事前に確認しておくことをお勧めします。
3-5. 買い手が見つかったら売買契約を交わす
売主・買主の双方が売買条件に合意に至ったら、売買契約を結びます。
売買契約時に必要な書類等(登記済権利証もしくは登記識別情報、印鑑証明書など)は、事前に不動産会社に確認して準備しておきます。
売買契約は、売主、買主、不動産会社の関係者全員が集合して行われます。
◎売買契約の大まかな流れ
- ①「重要事項説明書」と「売買契約書」の読み合わせ
②(売主・買主ともに理解・納得後)署名・押印
*契約完了後のスケジュールのすり合わせなども行う
一般的に、売買契約後、売主は不動産会社に仲介手数料の半金を支払います。
3-6. 売買代金を受け取り、物件を引き渡す
買主の住宅ローン審査が通り次第、残金決済の日程を決定します。売却する不動産に居住中の場合は、残金決済の前に引っ越しを完了させます。
残金決済時にも、売主、買主と、不動産会社の関係者全員が集合します。
◎残金決済の流れ
- ①買主から売主へ残金を支払う
②売主のローンが残っている場合は、残分のローンを完済し抵当権抹消の手続きを行う
(抵当権抹消手続きは事前申込が必要になります)
引き渡しを完了させたら、不動産会社に仲介手数料の残りの半金を支払います。
以上で、不動産売買に関する手続きはすべて終了です。
4. 空き家を売却する際に必ず押さえておくべきこと
空き家を売却する際に必ず押さえておくべきことは3つあります。
・リフォームしてはいけない
・不要な家財道具などの撤去費用に注意する
・共有名義不動産の売却は共有者全員の承諾が必要となる
特に、リフォームを計画する方は多いのですが、費用をかけてもあまり効果がないので、リフォームはおすすめしません。
4-1. リフォームはしてはいけない
かなりボロボロになった空き家を売るなら、リフォームをすれば高く売れるのではないかと考える方もいますが、リフォームはムダになってしまうことがほとんどです。
◎空き家のリフォームがムダになってしまう理由
①建物の価値は築年数でほぼ決まってしまうので、リフォームで資産価値をあげることはできない
建築物には耐用年数があり、国税庁が定めている木造一戸建ての耐用年数は築22年です。よって、基本的にこの年数を超えた場合は、建物としての価値はないと言えます。耐用年数を超えていれば、リフォームをしたところで資産価値は上がりません。
②土地だけ欲しいと考えている人が購入してくれなくなってしまう
土地が欲しい人は、購入した後に解体することを考えて購入するのですから、リノベーションされた建物が建っている土地は購入してくれません。
③自分好みのリフォーム・リノベーションができない物件は敬遠される
リフォームやリノベーション目的で空き家を探している人もいますが、自分好みにできることが条件となりますので、すでにリフォームがされている物件には魅力を感じないので購入してくれません。
このように、リフォームにかかった費用をそのまま売却価格に上乗せできると勘違いする方も多いのですが、リフォームによって売却価格を上げることもできませんので注意してください。
4-2. 不要な家財道具などの撤去費用に注意する
ほとんどの空き家は、家財道具などが放置されたままになっていることが多いはずです。
しかし、売却する際には、そういった不用品やゴミは全て撤去しなくてはならないので撤去費用がかかります。広い敷地に建つ大型の家の場合は、撤去費用も膨大になりますので注意が必要です。
おおよその撤去費用ですが、
・2LDKで12万~30万円
・3LDKで17万〜50万円
・4LDKを超える家の場合は要見積もり
とする業者がほとんどです。
ただし、この相場価格は平均的な量の場合で、撤去しなくてはならない不用品、ゴミが大量にある場合は、さらに費用がかかります。
4-3. 共有名義不動産の売却は共有者全員の承諾が必要となる
遺産相続した物件で問題になりやすいのが、共同名義となっているケースです。
基本的に共同名義の物件は、あなたひとりだけの権限で売却することはできません。
共有名義となっている全員の承諾を得てから売却活動に入ることが必要になります。
共有名義の不動産の売却方法
ケース1:共有名義者全員に了承を得てから売却する
ひとりでも反対者がいた場合は、売却することができません。
ケース2:共有名義の持分に応じて売却する
自分に与えられた不動産の境界部分だけを売却することは可能です。
しかし、更地(土地のみ)であれば「ここからここまでは自分の土地」と決めることができますが、家(建物)の場合は、持分の分割自体が難しいですし、仮に自分の持分だけを売り出しても、購入する人を見つけるのは困難です。
ケース3:所有者の中の1名の名義にしてから売却する
所有者の中の1名がそれ以外の人から持分を買い取り、自分一人の名義にしてから売却します。これも全員の意思の一致が必要です。
ケース2を行いたい場合には、空き家を解体して更地にすることが必要になります。しかし、更地にするためにも全員の承諾が必要になります。
結局、どの売却方法のケースを選ぶにしても、空き家の共同名義人全員で話し合って売却方法を決める必要があります。
5. 相続した空き家を売却した場合の税金の基礎知識
最後に、「相続した空き家」を売却した場合の税金に関する基礎知識をご紹介します。
相続した空き家だからこそ知っておくべき法制度と絡めてお伝えします。
※ここで紹介する税金の基礎知識は、基本的に《戸建ての相続した空き家》を対象としています。マンションの「相続した空き家」は対象としていませんのでご注意ください。
より詳しく相続不動産の税金について知りたい方へのオススメ参考記事
- 不動産の相続&売却にかかる「税金」まとめを紹介
相続した不動産を売却する方法&相続と売却にかかる税金・費用まとめ
5-1. 相続した空き家の譲渡所得の計算方法
不動産を売却して出た利益は譲渡所得といいます。購入時よりも高く売れた場合、譲渡所得税がかかる
ことになります。
購入時より安い金額で売却した場合は譲渡所得税はかかりません。
◎譲渡所得の計算式
- (課税)譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
譲渡価額……不動産の売却額
取得費………売却する物件の購入額(建物は減価償却後の価額)
譲渡費用……売却に要した費用(仲介手数料、印紙代、建物の取壊し費用等を含む)
相続した空き家の場合、取得費に注意が必要です。
相続した空き家は、購入したのは親や祖父母等である場合がほとんどで、当時の購入額が不明であるという問題がよく起こります。そこで、取得費が不明の場合には、「概算取得費」というものを用いて計算することになります。
概算取得費は、譲渡価額(不動産の売却額)の5%で計算されます。
◎概算取得費の計算例
2,000万円で売却………取得費は100万円
3,000万円で売却………取得費は150万円
5,000万円で売却………取得費は250万円
上記の計算例を見ていただいた通り、取得費が極端に低い金額となってしまい、譲渡所得が非常に高額になってしまいます。
税額は譲渡所得によって決まりますから、譲渡所得が高額だった場合、それに比例して税金も高額になります。
5-2. 相続した空き家の税率の計算方法の注意点
譲渡所得税の税率は、不動産を所有していた期間によって違いが出ます。
売却した年の1月1日時点で5年を超える所有期間がある場合は長期譲渡所得、5年以下の所有期間の場合、短期譲渡所得として区別します。
短期のほうが長期よりも税額は高めになります。
所有期間が5年を超える不動産を売却 ………譲渡所得税率15.315%(住民税5%)
所有期間が5年以下の不動産を売却 …………譲渡所得税率30.63%(住民税9%)
ここでも注意したいのが、相続した空き家の場合です。
相続した家を売却する場合、不動産を所有していた期間は、被相続人(親や祖父母等)が家を所有していた期間も含まれます。
そのため、相続した直後に売却しても、被相続人が5年以上その不動産を所有していれば、長期譲渡所得の税率が適用されることになります。
※2037年12月31日までは復興特別所得税がかかります。
◎税金の計算式
- 長期譲渡所得の税額(5年超)
= 課税長期譲渡所得金額 ×(所得税15.315%+住民税5%)+ 復興特別所得税(所得税額の2.1%)
- 短期譲渡所得の税額 (5年以下)
= 課税短期譲渡所得金額 ×(所得税30.63%+住民税9%) + 復興特別所得税(所得税額の2.1%)
※上記5-1で計算した譲渡所得が、「課税長期譲渡所得金額」・「課税短期譲渡所得金額」の額となります
5-3. 相続した空き家の「3,000万円の特別控除」について
ここでは、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」の条件等についてくわしくご紹介します。
転勤などで住まなくなり空き家になった自宅(マイホーム)を3年目の12月31日までに売却する場合は、譲渡所得(売却して得た利益)が3,000万円までは控除対象となり、税金が減額される特例が適用されます。
つまり、譲渡所得が3,000万円以下ならば、税金がかかりません。
参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
相続した空き家の場合の3000万円特別控除は、適用には細かい条件があるため、大多数のケースに適用されるわけではありませんが、当てはまる場合は税金がかからなくなる可能性があるので、必ず確認するようにしてください。
「3,000万円の特別控除」の適用対象となる「相続した空き家」は、以下の家屋の要件と譲渡の要件を満たしたものが対象となります。
全ての空き家が対象となるわけではありませんのでご注意ください。
家屋の要件
- ①相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であること
*平成31年の改正により、老人ホーム等に入居していた場合(一定要件を満たした場合に限る)も対象となります(2019年4月1日以後の譲渡が対象)
②昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
③区分所有建物(マンション等)以外の家屋であること
④相続開始直前においてその被相続人以外に居住したいた者がいなかったこと
⑤相続のときから譲渡のときまで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと
※家屋を取り壊した場合は以下の要件も必要
①相続のときから取壊しのときまで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと
②土地が相続のときから譲渡のときまで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと
譲渡の要件
- ①譲渡価額が1億円以下
②家屋を譲渡する場合、その譲渡時において、その家屋が現行の耐震基準に適合するものであること(耐震リフォーム済みであること)、もしくは解体されていること
③相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ、特例の適用期間である2016年4月1日から2023年12月31日までに譲渡すること
参考:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
不動産売却に関する税金を含めたお金の計算方法については、以下の記事も参考にしてください。
まとめ
いかがでしたか。
空き家は、放置している期間が長くなればなるほど売却が難しくなります。そして、売却活動をスタートするのが早ければ早いほど、短期間のうちに満足できる価格で売却することが可能になります。
長期的な空き家の管理維持費、のしかかる重い税金などに頭を悩ませているのであれば、いますぐに売却の決断をすることをお勧めします。
建物の解体については、ひとまず保留にして、一括査定サイトを利用して複数の不動産会社に査定依頼を行い、高額売却をしてくれる不動産会社を見つけることが先決です。
スピーディーな不動産査定を行うためにも、信頼性の高いHOME4Uの一括査定サイトをぜひご利用ください。
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