
マンション一棟をできるだけ高く売却するためには、以下の2点が重要です。
①実績や経験が豊富な信頼できる不動産会社に依頼すること
②「所有期間5年」を一つの目安に売却時期を見極めること
売り時を逃すと、買い手が見つからず老朽化が進み資産価値が下がってしまうかもしれません。
希望額を大きく下回る「マイナス収支」での売却はしたくありませんよね。
そのためには売却時期を的確に見極めて、プロである不動産会社に依頼することが確実です。
そこで今回は、一棟マンションを高価売却するための2つの方法について、詳細に解説していきます。
焦って売却することの無いよう、もしくはずるずると引き延ばしてタイミングを逃すことが無いよう本記事を参考にしてください。
目次
1. マンション一棟を高く売るために把握しておきたい「売却の流れ」
はじめに、マンション一棟の売却の流れを押さえましょう。
全体の流れとともに、自身がいつ・何をする必要があるのかを把握しておくことで、戦略的に売却を進められるため、高額売却できる可能性が高まります。
[マンション一棟の売却流れ]
■売却する不動産会社を選ぶために査定を依頼する
不動産を売却する際、通常は不動産会社に査定を依頼します。1社だけでは、適正な価格が見えてこないため、まずは、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。その後、提示された査定結果を比較・検討し、どの不動産会社で売却を進めるかを決定します。
※不動産会社の選び方について詳しくは2章を参照ください。
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■選んだ不動産会社と媒介契約を結ぶ
依頼する不動産会社を決定し、媒介契約を結びます。
※媒介契約は、専属専任媒介契約もしくは専任媒介契約がオススメです。契約の種類について詳しくは、下記記事の3章を参照ください。
不動産仲介の基礎知識を徹底解説!あなたの不安や疑問を解消します
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■売却活動スタート&条件交渉等
媒介契約を結ぶと、いよいよ売却活動がスタートします。
その後、購入希望者が現れると条件交渉に入ります。不動産会社の営業担当者とも十分に相談し、納得のできる売却ができるよう、戦略的に条件交渉に臨みましょう。
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■売買契約の締結⇒引き渡し
購入希望者との交渉が成立すると、物件情報の開示を行ないます。売主と買主の双方が売買条件に合意できれば売買契約を結び、引き渡しをして、マンション一棟の売却は完了となります。
2. 失敗しないためには不動産会社選びが肝|不動産会社を見抜く5つのポイント
マンションの売却額をはじめ、売買条件や売却できる時期は、依頼する不動産会社によって大きく変わります。
言ってしまえば、納得のできるマンション一棟の売却ができるかどうかは、信頼できる不動産会社に依頼できるかどうかにかかっているといっても過言ではないでしょう。
そこで、この章では、マンション一棟を少しでも高く売却するために、頼るべき不動産会社を見抜く5つのポイントをご紹介いたします。
2-1. ポイント① マンション一棟の売却実績が豊富
一口に不動産会社といっても、その事業内容は多岐にわたります。そのため、売買を手がける不動産会社があれば、賃貸を手がける不動産会社もあり、同じ売買でもマンションが中心の不動産会社も、戸建が中心の不動産会社もあります。
さらに、賃貸・売買を両方手がけていても、事業の柱はほぼ売買で、賃貸はあまり取り扱った経験がないなど、得意分野に偏りがあることも少なくありません。
依頼すべきは、もちろん「マンション一棟の売却」を手がけ、かつ得意とする不動産会社です。
マンション一棟売却を手がけているかは、HPなどを見れば一目瞭然でしょう。では、マンション一棟の売却を得意としているかどうかは、どう見抜けばよいかというと、HPなどに掲載されている実績を確認するのが一番確かです。マンション一棟の売却実績が豊富にあれば、それだけ経験に基づくノウハウや知識がある可能性が高いことは間違いありません。
特に、マンション一棟の売却は、マンション一室や戸建ての売却とは大きく異なり、査定方法や買手との交渉において、不動産会社に高い専門性が求められます。そのため、マンション一棟の売却実績を確認することで、どれだけのノウハウや経験があるか(マンション一棟の売却が得意かどうか)を推し量ることは、不動産会社を見極めるうえで非常に有効です。
2-2. ポイント② 売却するマンションの買主となり得る顧客を数多く抱えている
マンション一棟の買主となるのは、不動産投資家です。そして、多くの不動産会社は「よい物件があれば購入を検討したい」という不動産投資家を顧客として抱えています。
そこで、不動産会社を選ぶ際には、不動産会社が買主となり得る不動産投資家を数多く抱えているかどうかは、チェックしておきたいところ。ただし、数多く抱えてさえいればいいというわけではなく、実際に自身が売却したいマンションを購入してくれそうな、買主となり得る不動産投資家を数多く抱えているかどうかが重要です。
顧客として不動産投資家を数多く抱えているかどうか、また、売却したマンション一棟の買主となり得るかは、ずばり不動産会社に聞いてみるしかありません。もちろん聞いたからといって、すべてがわかるわけではありませんが、垣間見ることもあるでしょう。
2-3. ポイント③ 営業担当者の知識&経験が豊富
2章の導入部で「マンションの売却額をはじめ、売買条件や売却できる時期は、依頼する不動産会社によって大きく変わる」とお伝えいたしましたが、これらは営業担当者によっても、大きく変わります。場合によっては、営業担当者の手腕の方が、売却額などに、よりダイレクトに影響することもあります。そのため、不動産会社を選ぶ際には、営業担当者についても、より慎重に見極める必要があります。
営業担当者の手腕は、知識量や経験値で判断しましょう。
知識量については、質問や相談をするなかで、「こちらの質問や相談に対して、根拠のある納得できる回答をしてくれるか」「マンションを少しでも高く好条件で売却するための、市況観や不動産知識をもっているか」等をチェックすることで見えてくることもあります。経験値については、「これまでどういったマンションを、どのぐらい売却した経験があるのか」、本人に直接聞いてみましょう。
一般の方が、営業担当者の手腕を見極めるのは難しい面もありますが、ぜひ上記を参考に知識量や経験値をチェックしてみてください。
ちなみに、営業担当者に良い印象を持てない場合は、その不動産会社を候補から外してしまうのではなく、営業担当者の変更を願い出るのも一つの手です。
2-4. ポイント④ 査定額について納得できる根拠を明示してくれる
不動産会社に査定額を提示された際には、なぜその査定額になったのか、必ず根拠を確認しましょう。その際、納得できる根拠を明示してくれるかどうかも、不動産会社を見極める重要な指標となります。
また、査定額をチェックするにあたり、そもそも査定額は高ければ良いというわけではありません。査定額はあくまで査定額であって、売却額ではありません。査定額がいくら高くても、その額で売却できなければ意味がないのです。
多くの場合、信頼できる不動産会社は相場額に近しい査定額を提示するはずです。
これだけの情報化社会において、もちろん買主となる不動産投資家も相場に対してかなりの知識と情報をもっています。そんな中、相場額と大きく離れた額で売却できるはずがありません。そのため、不動産会社の提示する査定額もおのずと相場額と近しいものになるというわけです。
そして、信頼できる不動産会社であれば、仮に理由があって相場額と異なる査定額を提示する場合には、先述の通り、必ず明確な根拠を示してくれるはずです。
[参考]不動産会社選びは、一括査定サイト「HOME4U」を活用するのがオススメ!
「どうやって不動産会社を探せばいいかわからない」という方は、ぜひ、一括査定サイト「HOME4U(ホームフォーユー)」をご活用ください。
HOME4Uを活用すれば、マンションの立地や構造等の情報をもとに、そのマンションの売買を得意とする不動産会社が簡単に見つかります。HOME4Uは、NTTデータグループのNTTデータ・スマートソーシングが運営する一括査定サイトのため、安心感も抜群です!
【一括査定サイト「HOME4U」のオススメPOINT】
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⇒NTTデータグループのNTTデータ・スマートソーシングが運営!
☑利用者のことを考えたサイト運営をしている
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⇒利用者がなにか困ったときに相談できる「何でも相談窓口」を設置!
☑不動産の査定実績が豊富にある
⇒売却査定数 累積45万件(2021年6月時点)
☑全国対応している
⇒HOME4Uは全国対応のため、ほとんどの物件で対応が可能!
一括査定サイトについては、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
不動産一括査定は信頼できる?メリット・デメリットや賢く選ぶ方法
3. マンション一棟を少しでも高く売却するためには「売却時期の見極め」も重要
売却のタイミングを見極めることで、税制優遇が受けられたり、高く売却できたりすることもあります。
この章では、売却のタイミングを見極める指標となる情報を2つご紹介いたします。ぜひ、参考にしてください。
3-1. 「所有期間5年」を一つの目安に
マンション一棟を所有してもうすぐ5年というタイミングで売却を検討されている場合、5年を超えて売却ができるように進めるとお得です。なぜならば、所有期間5年を超えると、「住民税」「所得税」「復興特別所得税」の税率が下がるためです。
5年を超えるタイミングで「住民税」は9%⇒5%に、「所得税」「復興特別所得税」は30.63%⇒15.315%になります。マンション一棟の売却額は大きな金額となるため、数%、十数%違えば、税額に大きな差が生じるはずです。
※「住民税」「所得税」「復興特別所得税」はかからない場合もあります。
※不動産売却後にかかる可能性のある「住民税」「所得税」「復興特別所得税」について詳しくは、4-2-2を参照ください。
3-2. 入居率が高いタイミングで売却を検討すべし
買主となる不動産投資家は、投資のためにマンション一棟を購入します。そのため、当然ながら、確実な収益が見込める物件を高く評価する傾向にあります。
そして、「入居率」は確実な収益を見込めるかどうかの重要な判断指標の一つであるため、満室に近いほど、高く評価される(=高く売却できる)ことは間違いありません。
そこで、マンション一棟は入居率が高いタイミングで売却するのがオススメです。
売却を検討していて、このところ退去後、新たに入居者が入るまでに時間がかかっている傾向にある場合は、早めに売却を検討するのが良いでしょう。もしくは、現在すでに入居率がかんばしくない場合は、フリーレントを活用するなどして入居率を上げてから売却をするというのも、高く売却をするための一つの戦略です。
4. マンション一棟の売却にかかる費用&税金
マンション一棟を売却すると、費用や税金がかかります。
4-1. 費用
マンション一棟を売却したときにかかる費用には「仲介手数料」「司法書士への報酬」などがあります。
・仲介手数料
マンション一棟の売却を不動産会社に依頼すると、(不動産会社に支払う)仲介手数料がかかります。仲介手数料の額は不動産会社によって異なりますが、法律で、売却額に応じた上限額が定められています。
[仲介手数料の上限額(宅地建物取引業法)]
売却価格 |
仲介手数料 |
200万円以下の金額 |
売却価格の5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の金額 |
売却価格の4%+20,000円+消費税 |
400万円を超える金額 |
売却価格の3%+60,000円+消費税 |
参考:国土交通省
仲介手数料について知りたい方におすすめ
・司法書士への報酬
抵当権抹消の手続きを司法書士に依頼した場合には、費用として司法書士への報酬がかかります。
その他、住民票や印鑑証明書などの発行手数料(1枚につき数百円)がかかります。
4-2. 税金
マンション一棟を売却した時にかかる税金について、「売買契約前後にかかる税金」と「不動産売却後にかかる税金」に分けて、お伝えいたします。
先に補足しておくと、これからご紹介する税金は必ずしもすべてかかるわけではありません。売却額や諸条件によっては、一部の税金はかからない可能性もあります。このあたりについても、下記で詳しく解説してまいります。
売買契約前後にかかる税金
売買契約前後には、「印紙税」「登録免許税」「消費税」がかかる可能税があります。
・印紙税
売買契約書は課税文書にあたるため、印紙税がかかります。
※該当額の収入印紙を売買契約書に貼り、署名・捺印することで納税。
※一般的に、売買契約書は売主用・買主用に2通作成し、売主も買主も自身が保管する売買契約書の印紙税を負担。
契約金額が「5,000万円を超え1億円以下のもの」の場合は印紙税額3万円(軽減税率)、「1億円を超え5億円以下のもの」の場合は印紙税額6万円(軽減税率)です。
印紙税および印紙税額について詳しくは、国税庁HPにてご確認ください。
国税庁HP「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
国税庁HP「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
・登録免許税
抵当権抹消登記をするにあたり、登録免許税がかかります。
※登録免許税は収入印紙で納める。
※不動産登記法では、登録免許税は売主と買主の双方が負担するように定められていますが、一般的に買主が全額負担するのが慣行。
登録免許税の税額は、「不動産の個数×1,000円=登録免許税の税額」で計算します。たとえば、マンション1棟(1個)と土地1筆(※)の抵当権を抹消する場合は、「2×1,000円=2,000円」となります。
※「筆」とは土地を数える単位です。マンションの場合、複数の筆に分かれていることもあります。
※登録免許税は筆数分かかりますが、登録免許税法で、上限は2万円と定められています。
参照:国税庁HP「抵当権の抹消登記に必要な書類と登録免許税」
・消費税
マンション一棟の売却額は、「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡事業」にあたるため、消費税がかかります。
ただし、売主が課税事業者でない場合は、消費税の納税義務はありません。マンション売却売上(課税売上)が1,000万円を超える場合、個人事業者は翌々年、法人は原則翌々事業年度に、課税売上の消費税納税義務が発生します。
家賃収入等で年間の売り上げが1,000万円を超えているなど、すでに課税事業者になっている場合には、課税対象となり消費税が発生します。
※土地の譲渡は非課税取引にあたるため、消費税はかかりません。
国税庁HP「消費税のしくみ」
その他、先述の不動産会社へ支払う仲介手数料、司法書士に支払う報酬にも、消費税がかかります。
不動産売却後にかかる税金
不動産売却後には、「住民税」「所得税」「復興特別所得税」がかかる可能性があります。
これらの税金がかかるのは、不動産を売却して利益が出た場合のみ。利益が出たかどうかは、下記計算式にて判断します。下記計算式の「課税譲渡所得金額」がプラスとなった場合は、利益が出たとして、「住民税」「所得税」「復興特別所得税」がかかります。
課税譲渡所得金額=譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)
・譲渡価額:マンション一棟の売却価格のこと。
・取得費:過去に、マンション(今回売却するマンションのこと)を取得する際に支払った費用。
・譲渡費用:マンションの売却にかかった費用。
※譲渡費用となるものについて詳しくは国税庁HPを参照ください。
「課税譲渡所得金額」がプラスとなり、「住民税」「所得税」「復興特別所得税」がかかる場合は、下記計算式で算出します。
・住民税=課税譲渡所得金額×税率
・所得税・復興所得税=課税譲渡所得金額×税率
[税率]
マンションを売却した年の1月1日現在で、そのマンションの所有期間が5年を超える場合[長期譲渡所得]、5年以下の場合[短期譲渡所得]となります。
住民税 |
所得税・復興特別所得税 |
|
長期譲渡所得 |
5% |
15.315% |
短期譲渡所得 |
9% |
30.63% |
不動産売却時の税金について知りたい方におすすめ
まとめ
マンション一棟を少しでも高く売却するために押さえておくべき全知識をご紹介してまいりましたが、いかがでしょうか。
戦略的にマンション一棟を売却するために
「マンション一棟売却の流れ」(1章)は、ぜひとも頭に入れておきたいところ。また、「信頼できる不動産会社を見抜くポイント」(2章)、「売却時期の見極め方」(3章)も、より高く売却するために重要な情報となりますので、よくよくチェックしておくことをオススメいたします。
マンション一棟は、金額も大きいため、失敗のないようスムーズに売却活動を進めていきたいですよね。
この記事参考に、納得の高額売却を実現してください。