
「新築マンションを買ったが、売却することになった・・・」
せっかく新築マンションを買ったのに、
「転勤によって住むことができなくなった・・」
「やっぱり、職場の近くに住みたいので売却したい」
「住宅ローンの支払いが予想以上にきついので手放したい」
など、転勤、ライフスタイルの変化、支払いが厳しくマンションを売却したいと考えている人もいるのではないでしょうか。
新築で買ったからには、高く売れるんじゃないの?
と考えている人もいるかと思いますが、何も考えずに売却を進めると損をしてしまうケースもあります。
そこでこの記事では、新築マンションの売却で損をしない為に、大事な以下の3つのポイントを紹介しています。
①高く売るために最適な売却時期
②正しい相場を調べるための具体的な方法
③信頼できる不動産会社を選ぶためのポイント
上記を理解することで相場よりも損をすることなく、むしろ高く売却することが可能になります。
新築マンションをできるだけ高く売却する為に、しっかりと読んで実践していきましょう。
◎この記事内の「新築マンション」の表記について
①品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)②公正競争規約(不動産の表示に関する公正競争規約)という2つの法律・規約で定義されている新築物件とは、「建物が完成してから1年未満で過去、誰も入居したことがない」物件を指します。
簡単に表すと「完成から1年未満で未入居」の物件です。
不動産売買の情報サイトなどでは、上記の条件から外れると《新築》と表記ができませんが、この記事内では、入居後1~3年程度の「築浅物件」も含めて、新築マンションの売却方法としてご紹介します。
目次
1. 新築マンションが高く売れる3つの根拠
一戸建てにしろ、マンションにしろ、土地にしろ、どんな不動産物件であっても、できる限り高く売りたいと思うのが売却側のホンネでしょう。その不動産物件の中において、新築マンションは特に高く売れやすいと言われています。それはなぜなのでしょうか。
ここでは、新築マンションが高く売れる3つの理由を具体的に解説します。
1-1. 根拠①高く売れる証明となるデータ
新しいマンションほど高く売れるということは、過去のデータが証明しています。
一般社団法人不動産流通経営協会が発表した「第22回(2017年度)不動産流通業に関する消費者動向調査」によれば、買い替え時に売却した物件が、築5年以内の場合、築年数の古い物件に比べてプラスの売却差額の発生率が高くなっています(赤線で囲った部分が築5年以内)。築5年超の物件の売却差額の平均は、すべてマイナスになっていますが、築5年以内の平均はプラスになっています。
さらに見ていくと、築5年以内の物件では、売却差額がプラスとなった方は2016年度には38.9%でしたが、17年度は42.8%へと増加していることから、近年新築物件および築浅物件については、高く売れる傾向であることがわかります。
新築マンションは、今がいかに高く売れるチャンスなのかがうかがい知れます。
*調査対象は首都圏1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)
出典:不動産流通経営協会「不動産流通業に関する消費者動向調査(第22回)」P.11
1-2. 根拠② 購入希望者が多い(売りやすい)ので高めでも早く売れやすい
未入居の新築物件や築浅のマンションは高めの価格で売れやすいと言われています。なぜなら、日本人は特に新しいもの、新品が好きと言われており、不動産物件も、「マンションを購入するなら絶対に新築にしたい!」とこだわりを持っている人がたくさんいるからです。
公益財団法人東日本不動産流通機構(レインズ)が昨年発表した「築年数から見た 首都圏の不動産流通市場(2017年)」のデータからも、取引全体に占める新築・築浅物件の比率は低いものの、成約件数は多いことから、新築マンションの人気がうかがえます。
出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構「築年数から見た 首都圏の不動産流通市場(2017年)」■築年帯別構成比率 図表3 中古マンション築年帯別構成比率
人気エリアの新築マンションの場合は購入希望者が多く、抽選販売になることも多いですが、一度抽選にハズレてしまった方があきらめきれず、敗者復活で購入するケースもあります。
新築マンションの場合は購入したい人がたくさん現れることが多いので、売り出し価格を高めに設定しても早期売却ができるのです。
1-3. 根拠③ エリアが良ければ購入時よりも高く売れることがある
新築マンションは、物件の所在エリアがよければ、特に高額でしかも早く売れる可能性が高いです。なぜなら、人気エリアの新築および築浅のマンションは手放す人が少なく、また売り出してもすぐに売れてしまう傾向があるので、普段から狙っている購入希望者が多いからです。
購入時よりも新築マンションが高く売れる可能性のあるエリアは以下のような場所です。
・「住みたい街ランキング」などで上位にランクインした街・エリア
・人気沿線の人気駅(最寄り駅)まで徒歩5分以内
・メリットが多い最寄り駅(始発駅、複数路線利用可、急行・快速停車駅など)まで徒歩5分以内
首都圏を例にみると、下記のグラフのとおり、築浅のマンションの単価は新築マンションの単価に比べそれほど差がないことがわかります。
出典:
東日本レインズ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2017年)」
新築マンション成約単価のみ:不動産経済研究所《首都圏マンション市場動向》-2017年のまとめ–
2. 新築マンションを高く売るためにやるべき4つのこと
新築マンションは高く売れる傾向があるとはいえ、高く売るための対策をまったく取らずに売ってしまうと、結果的に損をしてしまうことがあります。不動産価格には定価が存在しないので、相場感を得ておく等の事前準備をしておかないと、相場よりも安く売り出してしまったり、逆に高くしすぎて売れ残ってしまったりするからです。
新築マンションであっても、高く売るためのテクニックを知っておくことは重要です。必ずこの4つを実行して確実な高額売却を目指してください。
2-1. 「売る」決断をしたら、とにかく早く売りに出す
新築、築浅どちらのマンションであっても、売る決断をしたらすみやかに売却活動を始めるようにしましょう。不動産の価値は一般的に築年数が増えていくとともに下がっていくからです。
記事の冒頭にも書きましたが、不動産情報サイトなどで「新築」表記できるのは、《一度も入居していない完成後1年未満》の物件だけですから、特に未入居の物件は売るのを躊躇していると、すぐに新築物件として売り出せなくなってしまいます。
売る側からすれば、新築と築浅ではあまり違いがないように思っても、購入する側からすれば印象が変わります。売却するかしないか悩んで時間が経てば経つほど、物件の価値はどんどん下がっていくのです。
新築マンションは早く売れば売るほど、購入時と同じくらいの額で売ることが可能になりますから、売ると決めたら、スピード感を持って売り出すようにしてください。
2-2. 不動産情報サイトを使って相場感を得ておく
不動産には定価がありませんから売却価格を決めるには、まず相場価格を知っておく必要があります。
相場価格がわからないと、次の行程で行う不動産査定で、不動産会社が出してくれた査定額が適切な額なのか判断できなくなるからです。相場価格は査定額を見極める基準値になります。
また、買主が購入時にまずチェックするのは、購入希望エリアの相場価格です。この相場価格から大きく外れた価格で売り出してしまった場合、売れるまでに時間がかかったり売れ残ってしまう可能性が高くなりますから、不動産売却を始める前には、必ず相場を調べておくようにしましょう。
不動産相場を簡単に調べるには、以下の2つのサイトを利用してください。
(1)レインズマーケットインフォメーション
【使い方】
①トップ画面のマンションを選択し、都道府県と地域(どちらも必須)を選んで選択します。
②次に絞り込み検索用の入力画面が出るので、選択します。
参考:レインズマーケットインフォメーション
【使い方】
左側の囲みの上から ①取引時期を選ぶ ②種類を選ぶ(マンションは「中古マンション等」を選択) ③地域を選ぶ ①~③を決定したら、最下部の「この条件で検索する」をクリックすれば、過去の取引情報の詳細が一覧で表示されます。
参考:土地情報システム
もっとくわしい使い方を知りたい方はこちらの記事を読んでください。
不動産相場を自分で調べたい人におすすめ
2-3. 複数の不動産会社に査定を依頼する
相場価格を確認した後は、売却物件を査定してもらう必要があります。査定は物件ごとに細かく調査を行い、査定価格は相場価格よりも精度が高くなるので、実際に売れる金額が予想できるからです。
ここで注意したいのは、1社だけに査定依頼をしてしまうと、比較検討する数値が他にないので、その査定額が適正価格なのかがわからないということです。さらに最初から不動産会社を1社に絞り込んでしまうと、他社に依頼したらもっと高く売れる可能性があるかもしれないのに、その高く売れる可能性を潰してしまうことになります。
少しでも高く売るためにも、査定依頼は必ず複数の不動産会社に依頼するようにしましょう。
2-4. 査定額の根拠が明確な不動産会社に仲介を依頼する
複数の不動産会社に査定を依頼すると、査定額が同じになることは少なく、高かったり低かったりバラバラです。ここで、査定額の根拠をそれぞれの不動産会社から聞くようにしてください。根拠があいまいな場合は、査定額も信憑性が低いからです。
査定額が一番高かった不動産会社に仲介依頼をしたくなると思いますが、必ず査定額の根拠を聞いてください。査定の根拠がハッキリせず、納得できない場合は仲介依頼はやめたほうが無難です。
しっかりと丁寧に査定額の根拠を説明してくれる不動産会社を選ぶようにしてください。
3. 新築マンション売却の流れ
新築マンション売却の大まかな流れは下記のようになります。この流れを理解しておくことで、適切に売却を進めることができるようになります。
①相場を調べる
↓
②不動産会社に査定を依頼する
↓
③不動産会社を選んで契約を結ぶ
↓
④物件を売り出す
不動産情報サイトなどで広告の掲載が始まります。その他チラシのポスティングなど、依頼した不動産会社が販売促進のさまざまな活動を行います。
↓
⑤内覧者の対応
購入希望者が現れたら実際にマンションを内覧してもらいます。新築マンションの場合は内装の汚れなど少ないはずですが、購入意欲を下げないようある程度掃除はしておくようにしましょう。また、未入居であることが望ましいですが、入居している状態で内覧を行うと、新築マンションとしての印象が薄まってしまうため、できるだけ引っ越し後に内覧を行うことをオススメします。
↓
⑥買主と売買契約を結ぶ
購入希望者との間で、価格や引き渡しの条件・時期などを交渉して合意ができれば契約を結びます。一般的に交渉は不動産会社を通して行われます。
↓
⑦物件を引き渡す
2章でご紹介した「高く売るためにやるべき4つのこと」は①~③の間で行います。つまり、物件を売り出す前にどれだけしっかり準備しておくかで売却価格が決まってしまうといっても過言ではありません。早く高く売るためにも準備は万全に行ってください。
不動産売却の流れを知りたい人にオススメ!
4. 新築マンションを売却する際の注意点
新築マンションの売却ならではの注意点があります。高く売れるからと楽観的になり過ぎることは禁物です。売却を成功させるためにも必ずチェックしておきましょう。
4-1. 新築プレミアムで一気に10~30%程度値下がりすることがある
新築マンションが売り出されるときには、本来の価格に上乗せされた「新築プレミアム」価格で売り出されることが普通です。
この上乗せされる価格の内訳は、広告宣伝費などの経費、アフターサービスや保証にかかる費用や、内装のオプション費用などで、おおよそ10~30%です。
物件は1日でも人が住んでしまえば新築と言えなくなり、同時にこの「新築プレミアム」で上乗せされた費用分は消えてしまいます。
*査定価格がこれらのプレミア価格を差し引いた価格になることもありますが、必ずしも物件の売却価格が下がるわけではありません。物件の立地条件(駅からの距離や周辺の環境など)のほうが重要視されるからです。
4-2.1 日でも住んでしまうと「新築」として販売できない
「新築物件」と表記できる条件は、法律で厳密に決められていることは記事冒頭で説明しました。よって、ほんの1日だけでも入居してしまうと新築とは言えなくなってしまいます。
新築マンションの購入契約をした直後に情勢が変わり、短期間で売らなくてはいけないことが確定しているのに、売り出すタイミングを迷っていったん住み始めてしまうと、それだけで売却価格が下落してしまう可能性がありますので注意しましょう。
4-3. 相場をおさえておかないと、安く売ってしまうことになる
新築マンションは高く売れるからといって相場を知らないまま売り出すのは失敗の原因になります。買主が購入時にまずチェックするのは、購入希望エリアの相場価格だからです。
この相場価格から大きく外れた価格で売り出してしまうと、売れるまでに時間がかかったり売れ残ってしまい、最終的には値引きをしなくては売れなくなってしまいます。
物件を売り出す前に相場感を得ておくことで、適切な売り出し価格を設定できます。相場価格の調べ方は、2-2.でご紹介しています。必ず確認をしておきましょう。
4-4. 組んだばかりでも住宅ローンは完済しないと売ることができない
住宅ローンを組んだばかりであっても、不動産売却を行う場合は住宅ローンを完済し、抵当権を抹消することが必須となります。抵当権が抹消できる条件は、住宅ローンの完済だからです。
住宅ローンの返済金は、マンションの売却代金で賄うことができます。もし売却代金が借りていた金額を下回ってしまうと、オーバーローンという状態になってしまうので注意が必要です。
抵当権とは…
万一ローンが返済できなかったときのために担保として不動産を確保しておくための権利を言います。住宅ローンを組む際、金融機関は対象となる不動産に抵当権を設定します。もしも返済が滞った際には、該当する不動産を競売にかけて融資した金額を回収します。
5. 知っておきたい新築マンションの売却にかかる費用と税金
新築マンションを売却する際には、さまざまな費用がかかります。また売却益が高額だった場合には税金がかかります。
諸費用は、マンションを売却した代金を受け取る前に必要になる場合が多いので、売却活動の前に必要な資金はしっかり用意しておくようにしましょう。
5-1. 新築マンション売却にかかる諸費用
新築マンション売却にかかる主な諸費用は以下の4つです。
①不動産会社に支払う仲介手数料
仲介手数料の上限金額の計算方法は売却価格によって計算方法が定められています。
通常は以下の計算式で求めることができます。
売却価格×3%+60,000円+消費税
②契約書に貼付する印紙代
印紙代は、売却価格によって異なります。
売却価格が1,000万円を超え5,000万円までは10,000円。5,000万円を超え1億円までは30,000円です。
*2020年3月31日まで軽減措置が取られています。2020年4月1日から、売却価格が1,000万円を超え5,000万円までは20,000円、5,000万円を超え1億円までは60,000円となります。
参考:国税庁「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の延長について
③登記関係費用:抵当権抹消費用および司法書士報酬料
住宅ローン完済後、抵当権を外す抵当権抹消登記費用がかかります。
(不動産1件につき1,000円。家と土地に設定されている場合は合計2,000円)
登記を依頼する司法書士へ報酬も支払います。(相場は1件10,000円程度)
④その他(引っ越し費用、繰上げ返済手数料など)
居住していた場合には引っ越し費用がかかりますし、住宅ローンを完済する際に、繰上げ返済手数料を取る金融機関もあります。
5-2. 新築マンション売却にかかる税金
売却により出た利益のことを譲渡所得といいます。新築マンションが購入時よりも高く売れた場合は、譲渡所得税がかかります。買ったときより安い金額で売れた場合は譲渡所得税はかかりません。
譲渡所得には所得税と住民税が高い税率で課税されます。新築や築浅のマンションでは、所有期間は5年以内であることがほとんどですから、所得税と住民税の合計税率は、39.63%と非常に高くなっています。
しかし、売却する物件がマイホームの場合には、3,000万円までの利益であれば非課税になるので、相当高く売れない限り税金は発生しません。
まとめ
いかがでしたか。
新築マンションは高く売れることが多いですが、油断することなく、高く売るためにするべきことが4つありました。
1.「売る」決断をしたら、とにかく早く売りに出す
2.不動産情報サイトを使って相場感を得ておく
3.複数の不動産会社に査定を依頼する
4.査定額の根拠が明確な不動産会社に仲介を依頼する
新築マンションを売却するのであれば、できるだけ早く決断してスピーディに売り出すことが大切です。
なぜなら、時間が経てば経つほど、不動産の価値は下落していくからです。
また、複数の不動産会社に査定依頼をすることも、確実に高く売るためには非常に大切なポイントです。
この記事をぜひ参考にして、新築マンション売却を成功させてください。