
不動産売却をするなら少しでも高く売りたいとお考えではありませんか?
不動産を少しでも高く売却するには、ずばり「不動産会社選び」が重要になります。
依頼する会社によって売却額に違いが出てくる為、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。
そこでこの記事では、信頼できる不動産会社を見極める為の4つのポイントを紹介します。
①不動産の売却実績が豊富
②不動産の売買が得意
③査定額が相場と変わらない
④営業担当者の知識量/交渉力/経験値が秀でている
これらのポイントを理解していただくことで少しでも高く不動産を売却することができます。
ぜひ、参考にしてみてください。
目次
1. 何からはじめればいいの?【不動産売却の流れ】を徹底解説!
まずは、不動産売却の流れを掴んでいきましょう。
細かいところまで把握する必要はありませんが、戦略的に不動産を売却するために、大枠の流れと「いつ・何をしなければならないか」は押さえておきましょう。
【全8ステップ!不動産売却の流れ】
不動産売却の一連の流れを全8ステップに分けて解説してまいります。
[ステップ①]事前準備(情報収集)
不動産を少しでも高く、賢く売却するためには、不動産売却の「知識」が必要となります。
本記事では「これだけは押さえておくべき!」という知識をわかりやすくお伝えしてまいりますので、まずは本記事を読むところからはじめるのがオススメです。
不動産売却のコツについて知りたい方におすすめ
上記以外にも、不動産の売却に関する知識は書籍やインターネット等で簡単に入手できます。ただし、不確かな情報が含まれていることもあるため、複数の情報源にあたるなどして、情報の正確性は必ず検証するようにしましょう。
また、不動産を少しでも高く売却するためには、自身でもある程度は相場額を把握しておきたいところ。
相場額を把握できていると、この後、不動産会社に提示してもらう査定額の妥当性が判断できるため、信頼できる不動産会社も見極めやすくなります(詳しくは2-2のポイント③を参照)。また、相場額をもとに、おおよそ自身の不動産がいくらで売却ができるかの見当がついていれば、実際に売却をスタートしてからの値下げ等の判断もより現実的にできるため、知識不足が原因で「値下げし過ぎた」といった事態も避けられます。
不動産の相場額を調べるならば、下記2つのサイトがオススメです。どちらも、実際の売却額が掲載されているため、信ぴょう性はバッチリ。自身と同じような不動産がいくらで売却されているか、同じエリアの不動産がいくらで売却されているか等、チェックしてみてください。
■国土交通省の土地総合情報システム
■国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営するレインズマーケットインフォメーション(不動産取引情報提供サイト)※直近1年の売却額のみ検索可。
相場額は、複数社の査定結果を比較して掴むという方法もあります。
信頼できる不動産会社は、相場額に近しい査定額を提示するケースがほとんどです(詳しくは2-2のポイント③を参照)。そのため、複数社の査定結果を比較すれば、おおよその相場額が掴めるはずです。
不動産相場が知りたい方におすすめ
[ステップ②]不動産会社に査定を依頼
次に、不動産会社に査定を依頼しましょう。
まずは複数の目ぼしい不動産会社に「机上査定」を依頼し、その後、 2~3社の不動産会社に絞って「訪問査定」を依頼するのがオススメです。
※机上査定とは
住所や間取り、築年数などの情報をもとにした簡易的な査定。
※訪問査定とは
実際に不動産会社が現地を訪問して、細かく隅々まで見て算出する査定。
訪問査定には、図面や登記情報などの書類が必要となりますので、事前に不動産会社に確認して揃えておくとスムーズです。また、訪問査定には、売主にも立ち会いが求められます。
不動産売却を検討中の方におすすめ
[ステップ③]依頼する不動産会社を選ぶ
それまでの不動産会社とのやりとりや、査定結果を比較・検討して、依頼する不動産会社を選びましょう。
どの不動産会社に依頼するかで、納得の売却ができるかどうかが決まるといっても過言ではありません。
そこで、本記事では、不動産会社の選び方について、特に丁寧に解説してまいります。2章にて詳しくお伝えしておりますので、必ずご一読ください。
[ステップ④]不動産会社と媒介契約を結び、売却活動スタート
依頼する不動産会社を決めたら、その不動産会社と媒介契約を結ぶことになります。
媒介契約には、専属専任媒介契約/専任媒介契約/一般媒介契約の3つがあり(詳しくは、下記の「売却契約の種類」を参照)、いずれかを選んで契約を結びます。
媒介契約後、いよいよ売却活動がスタートします。
「媒介契約の種類」
・専属専任媒介契約
契約を結んだ不動産会社1社だけに全面的に売却活動を依頼する。不動産会社には活動報告の義務が生じるため、売却活動の動きを把握することができる。自身で買主を見つけた場合も、専属専任媒介契約を結んでいる不動産会社を介して契約をする必要がある。
・専任媒介契約
専属専任契約と同じく、売却活動を依頼できるのは不動産会社1社だけ。不動産会社には活動報告の義務が生じるため、売却活動の動きを把握することができる。専属専任とは異なり、自身で買主を見つけ、直接(専任媒介契約を結んでいる不動産会社を介さず)、売買契約を締結することも可能。
・一般媒介契約
同時に複数の不動産会社に売却活動を依頼できる。自身で買主を見つけ、直接(一般媒介契約を結んでいる不動産会社を介さず)、売買契約を結ぶこともできる。ただし、不動産会社には必ずしも活動報告の義務がないため、依頼をしている各不動産会社の動きを把握できないこともある。また、不動産会社の立場からすると、売買契約が成立して初めて仲介手数料が入るため、専属専任媒介契約や専任媒介契約と比べると、自社が仲介手数料を受け取れる可能性が低くなるので、一般媒介契約の案件は後手にまわりがち。
オススメは、専属専任媒介契約もしくは専任媒介契約です。
不動産会社が報酬を得ることができるのは、売買契約が締結した場合のみです。どんなに売却活動をしても、契約にまで至らなければ報酬を得ることができません。そのため、多くの不動産会社は、競合他社に負ける可能性のある一般媒介契約よりも、自社だけに売却を依頼する契約である専属専任媒介契約もしくは専任媒介契約の案件を、より注力する傾向にあります。
売却活動がスタートすると、不動産会社から定期的に報告が入ります。活動報告の頻度や有無(契約内容によっては、報告がない場合もあります)は契約内容によって異なるため、事前に確認しておきましょう。ちなみに上記の通り、一般的には、専属専任媒介契約/専任媒介契約⇒活動報告は必須、一般媒介契約⇒活動報告は任意です。
[ステップ⑤]内覧対応&条件交渉
不動産に興味をもった買主が現れたら、内覧を実施することになります。
内覧では、見た目の印象も重要なポイントとなりますので、掃除・片付けをして、きちんと整えておきましょう。
通常、内覧には売主も立ち会います(土地だけの売却の場合、売主の立ち会いは不要)。
内覧は不動産会社の営業担当者が主導で進めてくれますが、日当たりや風通し、近隣住民のことなど、売主にしかわからないことは、説明を求められることもあります。
売主が不動産を気に入った場合、内覧後、条件交渉となります。場合によっては、価格の交渉を持ちかけられることも。交渉時には、譲れる点・譲れない点を明らかにすることが重要です。そのうえで、どこまで買主の要望に応じるのか不動産会社の営業担当者とも十分に相談し、戦略的に交渉を進めましょう。
[ステップ⑥]売買契約の締結
売主と買主の双方が売買条件に合意したら、売買契約を締結することになります。売買契約時に必要となる書類(登記済権利証もしくは登記識別情報、印鑑証明書など)がありますので、事前に詳しく不動産会社に確認して、準備しておきましょう。
売買契約の締結時には、売主、買主、双方の不動産会社が集まります。
「重要事項説明書」と「売買契約書」の読み合わせを行ない、売主・買主がそれぞれ理解・納得したうえで、署名・押印。その後、売主は買主から手付金を受け取る流れとなります。
[ステップ⑦]残金決済・抵当権の抹消~引き渡し
買主の住宅ローン審査が通ったら、残金決済のスケジュール調整に入りましょう。
残金決済時には、売主、買主、双方の不動産会社、司法書士が集まります。
※一般的に、買主の指定する金融機関等で行ないます。
残金決済時は、まず売主は買主から残金を受け取ります。ローンが残っている場合は、買主から受け取った残金で残分のローンを完済し、抵当権抹消の手続きを行ないます(※抵当権抹消の手続きは、事前に申し込みが必要)。
最後に不動産の引き渡しをして、不動産の売却は完了となります。
※抵当権抹消とは
金融機関から住宅ローンなどの融資を受ける際、多くの場合、担保として、不動産に抵当権が設定されています。そのため、住宅ローンが残っている(抵当権の設定された)不動産を売却する際には、売主は、売却利益などで住宅ローンを完済し、この抵当権を抹消する“抵当権抹消”の手続きをする必要があります。
[ステップ⑧]確定申告
不動産を売却して利益が出た場合、確定申告をしなければなりません。
※利益が出たかどうかは、「課税譲渡所得金額」で判断します。詳しくは、4章にて解説しております。
確定申告書類の提出期限は、売却した年の翌年2月16~3月15日の間です。
期限内に確定申告書類等を提出しないと、無申告加算税・延滞税がかかることもありますので、特に会社員の方は「うっかり忘れていた」ということのないよう、注意してください。
不動産売却後の確定申告について知りたい方におすすめ
不動産売却の流れについて知りたい方はこちら
[補足]不動産の売却にかかる期間目安
不動産売却の流れとともに押さえておきたいのが、不動産の売却にかかる期間。
不動産の売却には一定の期間がかかるため、特に「◎月までに売却したい」などの期限がある場合は早めに動き出しましょう。
下記表にて、不動産の売却にかかる期間の目安をご紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。
不動産の売却にかかる期間目安
8つのステップ |
期間目安 |
[ステップ①]事前準備(情報収集) |
― |
[ステップ②]不動産会社に査定を依頼 |
約 1~2ヵ月 |
[ステップ④]不動産会社と媒介契約を結び、売却活動スタート |
3ヶ月が一つの目安*1 |
[ステップ⑦]残金決済・抵当権抹消~引き渡し |
約1~2ヵ月 |
[ステップ⑧]確定申告 |
*2 |
*1:媒介契約の有効期間は基本3ヶ月ですが、買主がうまく見つからない・買主との交渉に時間を要している等の理由で、3ヶ月以上の時間がかかることもあります。
*2:不動産を売却した年の翌年2月16~3月15日の間に行ないましょう。
注意!
上記の期間は、あくまで目安です。
買主が早々に見つかって、上記よりも早く売却が完了できることもありますし、なかなか買主が見つからず、もしくは、買主との交渉が難航し、上記よりも長く時間がかかることもあります。
イチ早く売却を進めるためには、信頼できる不動産会社の協力のもと、戦略的に進めていくことも重要となります。下記2章では、信頼できる不動産会社の選び方について詳しく解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。
2. 不動産売却を成功させるためには「不動産会社選び」が超重要
先述の通り、不動産売却の成功のカギは、不動産会社選びにかかっているといっても過言ではありません。
この章では、「不動産会社選び」に的を絞って、そもそもなぜ不動産会社選びが重要なのか、信頼できる不動産会社をどう見極めればいいのか等について、詳しく解説してまいります。
2-1. 依頼する不動産会社によって、売却額や売却時期が変わる!
なぜ不動産会社選びが重要なのかというと、どの不動産会社に依頼するかで、「いくらで売却できるか」「いつ売却できるか」「納得の売買条件で売却できるか」等が変わってくるからです。
一口に不動産会社といっても、その実力には差があり、得意・不得意もあるため、不動産会社であればどこに依頼しても同じというわけではないのです。
とすると、気になるのは、「信頼できる不動産会社をどうやって見極めれば良いか」でしょう。そこで、下記2-2では、信頼できる不動産会社の見極め方について詳しく解説してまいります。
2-2. 信頼できる不動産会社を見極める4つのポイント
信頼できる不動産会社は下記4つのポイントで見極めることができます。
⇒ポイント①|不動産の売却実績が豊富
不動産会社の売却実績はぜひとも確認したいポイントの一つ。
売却実績が豊富にある不動産会社の方が、確かな実力やノウハウを有する可能性が高いのは間違いありません。また、「売却実績の件数=消費者に選ばれた件数」でもあるため、売却実績の件数が多いということは、それだけ信頼できる不動産会社であるという見方もできます。
不動産会社の売却実績は、ホームページやパンフレット等で確認できます。記載がない場合には、不動産会社に直接確認しましょう。
⇒ポイント②|不動産の売買が得意
2-1でお伝えした通り、不動産会社にも得意・不得意があり、売買が得意な不動産会社もあれば、賃貸が得意な不動産会社、マンションが得意な不動産会社、戸建てが得意な不動産会社もあります。
仮に、賃貸や管理業務を得意とする不動産会社に、売買の依頼してしまうと、相場とかけ離れた売値をつけてしまったり、なかなか売却ができず売却時期が延びてしまうことも。
たとえば戸建ての不動産を売却するならば、もちろん売買&戸建てが得意な不動産会社に依頼しましょう。
不動産会社の得意分野は、その不動産会社がHPやパンフレットなどの販促物で何をアピールしているかを見れば、一目瞭然です。その他、ポイント①の実績も、不動産会社の得意分野を見極める判断指標となるはずです。
⇒ポイント③|査定額が相場と大きく違わない
不動産会社に査定結果を提示されると、ついつい「査定額の高さ」ばかりが気になりがちですが、「査定額が一番高いから」という理由で不動産会社を選ぶのはオススメできません。
なぜならば、そもそも査定額はあくまで査定額であって、売却額ではないからです。
これは極端な例ですが、査定額を高く提示して依頼を勝ち取った後、なかなか売却ができないからと値引き提案してくるような不動産会社に依頼してしまっては元も子もありません。
大前提として、信頼できる不動産会社は、相場価格と大きく変わらない査定額を提示するはずです。
この情報化社会の中、「どの地域の、どういった不動産が、どのぐらいの価格か」というのは、不動産会社はもちろん、買主も知っています。そんな状況下で、極端に相場から離れた価格で売りに出しても、売れるはずがありません。そのため、査定額はおのずと相場価格と大きく変わらない結果となるのです。
万が一、信頼できる不動産会社が戦略的に相場とは大きく異なる査定額を提示することがあれば、なぜその査定額になったのか理由を明示してくれるはずです。
※不動産の相場価格は、ある程度、自身で調べることもできます。詳しくは1章のステップ①を参照ください。
⇒ポイント④|営業担当者の知識量/交渉力/経験値が秀でている
少しでも高く、好条件で売却ができるかどうかは、営業担当者の手腕も大いに関係します。
そこで、不動産会社を見極める際には、営業担当者の知識量/交渉力/経験値についても確認しましょう。
一般の方が、営業担当者の知識量/交渉力/経験値を見抜くのは難しいところではありますが、たとえば「少しでも高く好条件で売却するための、市況観や不動産知識をもっているか」「提示した査定額に対して、根拠のある説明をしてくれるか」「これまでどれぐらいの売却実績があるか」等を、営業担当者とのやり取りのなかで確認することで、垣間見れることも少なくないはずです。
また、営業担当者との相性や、売主に寄り添った対応をしてくれるかどうかも、できればチェックしておきたいところ。どんなに優秀な営業担当者でも、相性がわるく「どうしても苦手」な場合や、売主の心配や不安に寄り添ってくれないという場合は、不動産の売却がうまく進まないこともあります。
このあたりは人それぞれの感じ方にもよるので一概には言えませんが、営業担当者の人柄が不動産の売却に大いに影響することもある、ということは、ぜひ頭の片隅に入れておいてください。
営業担当者だけがネックとなる場合は、その不動産会社を候補から外してしまのではなく、まずは担当変更をお願いできないか、申し出てみるのも一つの手です。
[補足]不動産会社探しは、一括査定サイトを活用するのがオススメ
信頼できる不動産会社の見極め方について解説してまいりましたが、不動産会社を見極める以前に、「不動産会社にあてがなくて、困っている」という方もいらっしゃるでしょう。
そんな方は、一括査定サイトを活用するのがオススメです。
一括査定サイトならば、売却したい不動産の情報から、自身の不動産にぴったり合う不動産会社を簡単に見つけることができます。
◎オススメの一括査定サイト
ずばり、NTTデータ・スマートソーシングが運営する一括査定サイト「HOME4U(ホームフォーユー)」がオススメです。
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3. 知って得する!不動産を少しでも高く売却するために押さえておくべきこと
この章では、不動産を少しでも高値で売却するために把握しておきたい情報をまとめてご紹介いたします。
3-1. 不動産の売却時期を見極める
不動産を少しでも高く売却するためには、売却時期を見極めることも重要です。
高値で売却しやすいのは2~3月。買い手が見つかりやすいのも、この時期です。なぜ2~3月かというと、転勤や子どもの進級を機に引っ越しを考える人が増えるためです。
ちなみに、2~3月に売却をするためには、どんなに遅くとも前年の11~12月には売却に向けて動き出す必要があります。
とはいえ、これは一つの傾向であって2~3月であれば必ず高く売却できるということではありません。当然ながら、不動産の購入を検討している人は年中いますし、自身の売却したい不動産をほしいと思う人が必ずしも2~3月に現れるとは限りません。
そのため、上記の2~3月はあくまで売却時期を考える一つの参考情報として活用するのがオススメです。
売却時期に悩んでいる方におすすめ
3-2. 内覧時に不動産をキレイに整えておくことも重要
不動産を見定める際に、見た目の印象は買主の重要な判断材料となります。
そのため、内覧時に掃除・片付けをしてキレイな状態にしておくことは、売却額にも良い影響を与えます。
汚れ、散らかった状態のまま、「キレイにすれば、とても良い物件です!」と力説するよりは、掃除・片付けをしてキレイにしておく方が、その不動産に高い価値を感じていただきやすいというのは、想像に難くないでしょう。
そこで、内覧時には、できるだけキレイな状態でお見せできるよう、掃除・片付けをしておくことをオススメいたします。特に、入居中の住まいをお見せする場合は、ごちゃついて見えないよう意識して片付けておきましょう。自身で掃除をするのが難しい場合は、ハウスクリーニング等のサービスを活用するのも一つの手です。
また、空地や空き家の場合は、ゴミなどが不法投棄されていることもありますので、事前に確認しておきましょう。
3-3. 売却期間にゆとりのある方が、希望額で売却できる可能性大
買主が現れるかどうかは、時の運。希望額で購入してくれる買主がすぐに現れれば良いのですが、なかなか現れない可能性も十分にあります。
なかなか現れない場合に、「◎月までに売却しなければならない」といった期限があり、売り急ぐ必要があると、イチ早く買主を見つけるために、値下げに踏み切らなければならなくなることもあるでしょう。しかしながら、売却期間にゆとりがあれば、希望額で購入してくれる買主を待つことができる分だけ、希望額で売却できる可能性は高まります。
売り急いでいるよりも売却期間にゆとりのある方が、高値で売却できる可能性が高いというのは間違いありません。
4 . 【お金のこと】不動産売却にかかる費用&税金まとめ
不動産売却の際、実は、入ってくるお金だけでなく出ていくお金もあります。
ここでは、不動産売却にかかる「費用」と「税金」に分けて、それぞれ解説してまいります。
4-1. 不動産の売却にかかる「費用」
不動産の売却にかかる最たる費用は、不動産会社に支払う「仲介手数料」です。
不動産会社に依頼して不動産を売却すると、この仲介手数料がかかります。
仲介手数料の金額は不動産会社によって異なりますが、宅地建物取引業法によって「上限額」が定められているため、「最高いくらかかるか」は自身でも算出することができます。
[仲介手数料の上限額(宅地建物取引業法)]
売却価格 |
仲介手数料 |
200万円以下の金額 |
売却価格の5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の金額 |
売却価格の4%+20,000円+消費税 |
400万円を超える金額 |
売却価格の3%+60,000円+消費税 |
【参考】国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
例)
仲介手数料の上限額
⇒不動産を3,000万円で売却した場合
●消費税10%の場合
3,000万円×3%+60,000円=960,000円
960,000円の消費税10%⇒96,000円
960,000円+96,000円=1,056,000円(仲介手数料の上限額)
不動産を3,000万円で売却した時の仲介手数料の上限額は、消費税10%の場合1,056,000円です。どの不動産会社に依頼したとしても、(不動産を3,000万円で売却した場合に)仲介手数料がこの額を上回ることはない、ということです。
不動産売却の仲介手数料について知りたい方におすすめ
仲介手数料以外にかかる費用としては、住民票や印鑑証明書などの発行手数料(1枚につき数百円)があります。その他、場合によっては、測量費用(相場価格|約35~80万円)、解体費(相場価格|約木造の場合4~5万円/坪、鉄筋コンクリートの場合は木造の倍ほど)、引っ越し費用などがかかることもあります。
4-2. 不動産を売却した時にかかる「税金」
不動産を売却した時にかかる税金は1種類ではありません。売買契約前後には「(1)印紙税」「(2)登録免許税」「(3)消費税」が、不動産売却後には「(4)住民税」「(5)所得税」「(6)復興特別所得税」がかかる可能性があります。
売買契約前後にかかる可能性のある税金 |
(1)印紙税 |
(2)登録免許税 |
|
(3)消費税 |
|
不動産売却後にかかる税金 |
(4)住民税 |
(5)所得税 |
|
(6)復興特別所得税 |
売買契約前後にかかる可能性のある税金
売買契約前後には、「(1)印紙税」「(2)登録免許税」「(3)消費税」がかかる可能性があります。
(1)印紙税
不動産の売買契約書は課税文書にあたるため、印紙税がかかります。
売買契約書に該当額の収入印紙を貼り、署名もしくは捺印して消印することで納税します。
一般的に、売買契約書は売主用・買主用の2通を作成し、売主も買主も自身が保管する売買契約書の印紙税を負担します。
[印紙税額]
契約金額 |
印紙税額 |
|
本則税率 |
軽減税率 |
|
1万円未満のもの |
非課税 |
- |
1万円以上10万円以下のもの |
200円 |
- |
10万円を超え50万円以下のもの |
400円 |
200円 |
50万円を超え100万円以下のもの |
1,000円 |
500円 |
100万円を超え500万円以下のもの |
2,000円 |
1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの |
1万円 |
5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの |
2万円 |
1万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの |
6万円 |
3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの |
10万円 |
6万円 |
※不動産売買契約書に記載された契約金額が1万円未満は非課税。また、10万円以下のものは、軽減措置の対象とならない。
【参考】国税庁「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
【参考】国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
(2)登録免許税
1章のステップ⑦でもご紹介した通り、不動産を売却する際、抵当権抹消の手続きが必要となります。そして、抵当権抹消登記には、登録免許税がかかります。
登録免許税の税額は、下記計算式にて算出できます。
不動産の数×1,000円=登録免許税の税額
例)
土地と戸建ての抵当権を抹消する場合
2×2000円=2,000円(登録免許税の税額)
※不動産登記法では、登録免許税は売主と買主の双方が負担するように定められていますが、一般的に買主が全額負担するというのが慣行となっています。
※抵当権抹消登記の手続きを司法書士に依頼する場合は、別途、司法書士への報酬がかかります。
[参考]法務局HP「抵当権の抹消登記に必要な書類と登録免許税」
(3)消費税
不動産の売却時に一般の方が支払う消費税は、不動産会社に支払う仲介手数料(4-1参照)に課税される分だけです。個人が居住用に所有していた不動産を売却する場合は、売却額に消費税は課税されません。
もちろん、消費税額は、仲介手数料の額によって異なります。
※先述の通り(4-1参照)、仲介手数料は宅地建物取引業法によって上限額が定められています。
[仲介手数料の上限額(宅地建物取引業法)]
売却価格 |
仲介手数料 |
200万円以下の金額 |
売却価格の5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の金額 |
売却価格の4%+20,000円+消費税 |
400万円を超える金額 |
売却価格の3%+60,000円+消費税 |
【参考】国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
例)
不動産を3,000万円で売却、仲介手数料が960,000円
960,000円の消費税10%⇒96,000円(消費税額)
その他、抵当権抹消登記の手続きを司法書士に依頼した場合は、司法書士へ支払う報酬にも、消費税がかかります。
不動産売却後にかかる税金
不動産売却後には、「(4)住民税」「(5)所得税」「(6)復興特別所得税」がかかる可能性があります。
(4)住民税
(5)所得税
(6)復興特別所得税
不動産売却後に税金(住民税、所得税、復興特別所得税)がかかるのは、利益が出た場合のみ。
利益が出たかどうかは、下記計算式の「課税譲渡所得金額」で判断します。「課税譲渡所得金額」がプラスとなった場合は利益が出たということになり、税金がかかります。
譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)-特別控除額= 課税譲渡所得金額
譲渡価額 |
不動産の売却価格のこと。 |
取得費 |
過去に、不動産(今回売却する不動産のこと)を取得する際に支払った費用。 |
譲渡費用 |
不動産の売却にかかった費用。 |
特別控除額 |
マイホームを売却して利益が出た場合(その他にも適用要件あり)、3,000万円の特別控除を受けることができる。 |
不動産売却後の確定申告について知りたい方におすすめ
(4)住民税(5)所得税(6)復興特別所得税は、下記計算式によって算出します。
課税譲渡所得金額×税率=住民税
課税譲渡所得金額×税率=所得税・復興所得税
※税率は、下記表を参照ください。
[税率]
不動産を売却した年の1月1日現在で、その不動産の所有期間が5年を超える場合[長期譲渡所得]、5年以下の場合[短期譲渡所得]となります。
住民税 |
所得税・復興特別所得税 |
|
長期譲渡所得 |
5% |
15.315% |
短期譲渡所得 |
9% |
30.63% |
不動産売却した際にかかる税金について知りたい方におすすめ
4-3. 知って得する「税金の優遇措置」
マイホームを売却した場合、一定の要件を満たせば、不動産売却後にかかる税金について優遇措置を受けられる可能性があります。
なお、マイホームを売却して「利益が出た場合」だけでなく、「損失が出た場合」にも、受けられる可能性のある優遇措置があります。
以下、マイホームを売却した場合に受けられる可能性のある優遇措置について、「利益が出た場合」と「損失が出た場合」に分けて、解説してまいります。
[利益が出た場合|税金の優遇措置]
マイホームを売却して「利益が出た場合」、受けられる可能性のある特例は下記の3つです。
■マイホームを売却|3,000万円の特別控除の特例
マイホームを売却した場合、最高3,000万円の控除が受けられる。
【参考】国税庁HP「マイホームを売ったときの特例」
■所有期間10年超のマイホームを売却|軽減税率の特例
マイホームを売却した年の1月1日時点で、そのマイホームの所有期間が10年を超えている場合に受けられる特例。上記、マイホームを売却した場合に受けられる3,000万円の特別控除を適用した後の「課税譲渡所得金額」に対して、軽減税率で税額を計算できる。
【参考】国税庁HP「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
■マイホームの買換え(交換)の特例
マイホームを売却し、新たにマイホームを購入した場合に、一定の要件に該当する場合は、譲渡益の課税を将来に繰り延べることができる。
【参考】国税庁HP「特定のマイホームを買い換えたときの特例」
※3,000万円の特別控除の特例と軽減税率の特例は、併用できます。ただし、3,000万円の特別控除の特例とマイホームの買換え(交換)の特例は併用不可。同じく、軽減税率の特例とマイホームの買換え(交換)の特例も併用できません。
[損失が出た場合|税金の優遇措置]
マイホームを売却して「損失が出た場合」、受けられる可能性のある特例は下記の2つです。
■マイホームを売却して、新しくマイホームを買い換えた場合の特例
売却したマイホームの譲渡損失の金額(マイナスの課税譲渡所得金額)について、損益通算および繰越控除できる。
【参考】国税庁HP「マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」
■マイホームを売却して、新しくマイホームを買い換えない場合の特例
売却したマイホームの住宅ローン残高から譲渡価額(売却額)を差し引いた残額を限度として、損益通算および繰越控除できる。
【参考】国税庁HP「住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき」
[注意!]損失が出た場合の優遇措置を受けるには、確定申告が必要!
不動産売却後に税金(住民税、所得税、復興特別所得税)がかかるのは、利益が出た場合のみです。そのため、確定申告が必要となるのも、利益が出た場合のみ。損失が出た場合には、確定申告の義務はありません。
ただし、上記の「損失が出た場合の優遇措置」を受けるならば、損失が出た場合にも、確定申告が必要となります。
不動産売却後の確定申告について知りたい方におすすめ
不動産売却のシュミレーションをしたい方におすすめ
5. 状況別Q&A「こんな時、どうすればいいの?」
最後に、「住宅ローンの残っている不動産を売却したい」「相続した不動産を売却したい」など、不動産の売却時のよくあるQ&Aをご紹介してまいります。
5-1. 「Q.住宅ローンの残っている不動産を売却したい」
A.大前提として押さえておいていただきたいのは、不動産を売却するためには、残分の住宅ローンを完済しなければならない、ということです。
預貯金などの自己資金だけでは残分の住宅ローンを完済できなくても、不動産の売却額(+自己資金)で残分の住宅ローンを完済できる場合、問題なく不動産を売却できます。
また、自己資金と不動産の売却額をあわせても残分の住宅ローンを完済できない場合(自己資金+不動産の売却額<住宅ローン残額)でも、無担保ローンを活用する、もしくは、新たに新居を購入する場合は「住み替えローン」を活用するなどして完済できれば、不動産は売却できます。
「住宅ローンの返済がきびしくて、不動産を手放したい」という場合は、任意売却という奥の手を活用するのが良いでしょう。任意売却ならば、住宅ローンを完済できなくても不動産を売却できます。ただし、残分の住宅ローンは消えるわけではなく、引き続き返済が必要です。
しかしながら、早めに任意売却という手を打てば、「今後も住宅ローンの返済が滞り続け、不動産が競売にかけられてしまう」という最悪の事態は避けられます。
住宅ローンが残っている不動産を売却したい方におすすめ
住み替えローンについて知りたい方におすすめ
5-2. 「Q.相続権のある不動産を売却したい」
A.もしかすると「相続登記(不動産の名義変更)をせずとも、売却できるだろう」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは誤解です。相続権のある不動産をすぐに売却をする場合も、一旦は不動産の名義を相続人に変更(相続登記)しなければ、不動産を売却することはできません。
不動産相続の流れについて知りたい方におすすめ
まとめ
「不動産を売却するならば、これだけは押さえておくべき!」という知識をまとめてご紹介してまいりましたが、いかがでしょうか。
不動産売却の流れ(1章)
信頼できる不動産会社の見極め方(2章)
不動産を少しでも高く売却するために押さえておくべきこと(3章)
不動産売却にかかる費用&税金(4章)
すべて不動産を売却する上で絶対に必要な知識となりますので、不動産の売却に向けて動き出してからも、疑問に思うことがあれば、この記事に戻ってきていただければと思います。
不動産を少しでも高く、賢く売却するためには、一定の知識が必要です。ぜひ、上記を参考に、不動産の売却を戦略的に進めてまいりましょう。
(2019/12/17追記:本記事の掲載内容は、2019/2/8公開日時点での情報です。消費税増税に伴い、