プロが考える「家の住み替え」で失敗しないためのポイントを徹底解説

「人生100年時代」

今の時代、昔のように、一度買った家に死ぬまで住み続ける人は実は稀になってきています。ケースによっては、3回、4回と家の住み替えをする方も少なくありません。

この記事を見ている方は、今まさに「住み替え」をしようと考えている人や今後住み替えるを視野に入れている方が多いと思います。

そこで、

・住み替えを成功させるために知っておくべきこと
・住み替えに失敗しないために押さえておくべきこと

をご紹介します。

これを読めば、正しい準備をすることができるので、安心して住み替えを行うことができるでしょう。
※住み替えには「賃貸住まいから家を購入」のケースもありますが、ここでは「持ち家を売却し新たに家を購入」する住み替えのケースのみを取り扱いますので、ご了承ください

1. 人生100年時代に必ずくるといえる「住み替え」のタイミング

住み替えのタイミングは、1度だけではありません。これから2度、3度とあることを想定に入れましょう。まずは、住み替えはどんなタイミングで来るのか紹介します。

1-1. ライフサイクルの変化

自分や家族のライフサイクルの変化によって、家の住み替えをする方が増えています。そのタイミングは大きく分けて4つです。時系列でみていきましょう。

(1)結婚

まず最初のタイミングは結婚です。単身者用マンションから、カップル向けのマンションなどに住み替えを行うパターンです。

独身であっても家を購入している方はたくさんいます。最近は、一生独身かもしれないと考えて単身者用のマンションを購入する人は男女を問わず多くいて、特に首都圏では人気があります。

しかし、独身貴族を謳歌している人でも、ご縁があれば結婚します。単身者用マンションでの二人暮らしは広さの面や設備の面から考えて暮らしにくいもの。そのタイミングで住み替えが行われます。

(2)子どもが生まれた/増えた

子供が増えたタイミングでも住み替えが行われます。子どもは授かりものとも言われますので、計画的に子作りをしようと思っても、必ずその通りにいくわけではありませんよね。

ずっと二人暮らしでいいと思って暮らしていたが、急に子供ができたとか、一人っ子でいいと思っていたが二人目ができたとか、さまざまなケースがありますが、子供が増えると家が狭く感じられるようになるものです。子供がどんどん成長して大きくなっていくにつれて、家の周辺環境が気になり始め、もっといい環境に引っ越ししたいと考えることもあるでしょう。

子供ができるとマンション住まいよりも一戸建てに住みたくなって住み替えを行う人も多数います。

(3)子どもが独立

次の住み替えのタイミングは子供の独立です。子供が大学に入学した、成人した、社会人になったなど、巣立ちの時期になると今度は家族の数が減ります。一人減り、二人減り、子供部屋は全く使われなくなってしまった。大きく作ったリビングが夫婦二人では広過ぎる。そんなタイミングで、もう少しコンパクトな家のほうがいいかもしれないと住み替えを行います。

(4)老後

最後のタイミングは老後です。最近は定年退職後に住み替えを行う方も増えつつあります。人生100年時代をまさに象徴するようですが、長い老後を快適に暮らすための住み替えです。

二階への昇り降りが負担になる一戸建てを売却して、ワンフロアで暮らせるマンション住まいに切り替える方が多いようです。マンションは駅に近く買い物にも便利なことが多いですし、エレベーターで移動ができますから、足腰の弱ってきた高齢者には住みやすいからです。

しかし老後の住み替えは慎重に行わなくてはいけません。住宅ローンの借り入れには年齢制限が設けられていることがほとんどですし、退職金の大半を住み替え資金に使ってしまうのも危険です。

老後に住み替えを考えるなら、早めに資金計画を立てて、元気なうちから資金を確保しておくことが大切です。

1-2. 家の老朽化

一般的に、住み替えは家の老朽化にともなって行われます。今は新築でピカピカの家も、10年20年と暮らしていけば、必ず古くなって、どこか傷んだり壊れる箇所が出てきます。修繕するのにもそれなりの費用がかかりますから、いっそのこと買い替えてしまおうと考えることもあるでしょう

木造建築が多い一戸建ての耐久年数は約20年と言われています。鉄筋構造の多いマンションは一戸建てよりも耐久年数は長いですが、やはり築30年くらいから老朽化が目に見えてわかるようになります。

家そのものの価値は築15年を過ぎるとほとんどなくなってしまうケースも多いので、できるだけ価値のあるうちに売却して売却益を手にしたいと思うのであれば、老朽化が進まないうちに住み替えを行うほうがいいでしょう。

2. 人生100年時代に「住み替え」を成功させるために必ず知っておきたいこと

安心して住み替えができる4つのケースをご紹介します。さらに、住み替えを安心して行うための大きなポイントとなる「今住んでいる家を高く売る」ための4つの方法をご紹介します。

これを知っておくことで、将来的に有利な住み替えができる可能性がグンと高まります。

人生を100年という長いスパンでとらえれば、住み替えは一度で終わらず、複数回行うことになるはずですから、ぜひ覚えておいてください

2-1. 安心して住み替えができる4つのケース

安心して住み替えができる4つのケースについて紹介します。住み替えを安心して行うための最重要といえるポイントは「お金」です。

資金不足は不安感を抱く元になりやすいので、住み替えのタイミングを迎えるまでに、住み替えに使える資金をできるだけ用意しておき、綿密な資金計画を立てておくことが大切です。

(1)住宅ローンが完済できている(もしくはローンの残額が少ない)

住宅ローンが完済している、もしくはローン残高が減っていて少ない場合は、安心して住み替えができることが多いです。住宅ローンが完済していれば全く問題なく売却できるでしょうし、ローン残額が少なければ、家を売却してできた資金を使えば一括返済が可能になるからです。

住み替え時に頭を悩ませることが多いのは、住宅ローンの残額です。住宅ローンが残っていても家の買い替えは可能ですが、今住んでいる家の住宅ローンをいったん一括完済しなければ、家を売ることができません。

今住んでいる家のローン残高が少なければ少ないほど、金銭的に悩むことがなくなるので、安心して住み替えを行うことができるのです。

(2)貯金があるなど、住宅購入に使える資金が潤沢

ある程度貯金が貯まっていて、新しい住宅購入に使える資金が潤沢であれば安心して住み替えができます。たとえ住宅ローンが残っている状態の売却であっても、自己資金で住宅ローンの一括返済が可能になるからです。

(1)でご紹介した通り、住宅ローンが残っていても家の売却はできますが、一括返済をして今住んでいる家の住宅ローンを完済させる必要があります。家を売却して作った資金でまかなえればいいのですが、それでも足りない場合は自己資金を使うことになります。

たとえ今住んでいる家の売却額が低かったとしても自己資金が潤沢であれば、住宅ローンの完済がすみやかに行われるので住み替えに苦労しません。

(3)今住んでいる家が高く売れると予想できる場合

今住んでいる家が高く売れると予想できるのであれば、安心して住み替えができます。売却益が出れば、今住んでいる家の住宅ローンの残債に使えるからです。

これから家を買う予定の人は、今は住み替えをする気がなくても、将来売却することを考えて購入することをおすすめします。人生なにが起こるかわからないので、「死ぬまでこの家に住む」と思って購入したお気に入りの家であっても、将来的に売ることになる可能性が全くないとは言えません。全く想定していなかった理由で、購入した家を売ることになってしまった方はたくさんいます。

どんな家を買えばいいのか悩んだら、下記の記事を参考にしてください。売れない家の特徴が網羅されています。
将来売れない可能性が高い家の特徴14個!今後、家を買うなら必ずチェックしよう!

(4)つなぎ融資や住み替えローンを利用する

(1)〜(3)がむずかしい場合、最後の手段になりますが、つなぎ融資や住み替えローンを利用すれば安心して住み替えを行うことができます。

どちらも大変便利な融資の手段ですが、取り扱う金融機関によって差があり、こまごまとした制約がありますので、利用する場合にはよく検討して、無理のない返済計画を立てるようにしましょう。

◎つなぎ融資を利用する
つなぎ融資は、今住んでいる家を売却する前に新居を購入したい場合に、一時的に利用できるローンです。(立替払いのイメージ)

【つなぎ融資の主な特徴】
・新居を先に購入し、仮住まいなしで安心して家を売却することができる
・1年〜半年程度の短期間に返済することが決められている
・金利が高い
・取り扱う金融機関が少ない

◎住み替えローンを利用する
住み替えローンは、今住んでいる家を売却しても住宅ローンが完済できない場合に、住宅ローンの残債と新居の購入資金をまとめて融資をしてもらえる金融商品です。

【住み替えローンの主な特徴】
・家を売って住宅ローンが完済できる人は利用できない
・「売却」と「購入」の決済日をそろえる必要がある
・決済日をそろえるために、新居がゆっくり探せない可能性がある
・新居の購入費用以上にローンを借りることになるので、返済計画に注意が必要

2-2. 後で知っても遅い!今住んでいる家を高く売る4つの方法

2-1.でも触れましたが、今住んでいる家が高く売れると、住み替えがスムーズにできる可能性が高まります。そこで今住んでいる家を高く売る4つの方法をご紹介します。

家の売却を考え出す前から実行することで、利益を増やすことができる方法もありますので、読んだ後は、ぜひ実践するようにしてください。

(1)高く売れるうちに高く売る(築10年以内に売却)

家が高く売れるうちに高く売ることを考えましょう。家を高く売るには、タイミングも考えなくてはいけません。あの時が、高く売れるタイミングだったんだ…と気がついても後の祭りになってしまいます。

家を買うほうの気持ちになってみればすぐにわかりますが、なんらかのこだわりがない限り、普通は築年数の若い家を買おうと思うものです。新築住宅は高価ですが、購入を検討している中古住宅との価格差が数百万円しかない新築が近所にできたら、新築のほうを購入してしまう人がほとんどです。

売却のタイミングとしてよく言われているのが築10年です。新築から10年経つと家の価値は約半分になってしまい、なんと築15年で10%程度の価値しかなくなってしまうと言われています。
出典:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム 市場の現状」中古戸建住宅の価格査定の例(11ページ)

住み替えを考えるのであれば、常に築年数を意識してタイミングを逃さないようにしましょう。

(2)定期的なメンテナンスを行い、今住んでいる家の価値を下げないようにする 

今住んでいる家の価値を下げないように定期的にメンテナンスを行うようにしましょう。定期的にメンテナンスを行い大切に使われた家は、売却時に購入希望者が見学に来た際にも好印象になります。

一戸建ての場合は、屋根や外装のメンテナンスは手を抜かずにしっかりと行うようにしましょう。マンションの場合は、専有部分は自分でメンテができても、共有部分の手入れは管理組合に任せることになります。共有部分のメンテナンスがおろそかになっているマンションは購入希望者から敬遠されるので、普段から共有部分の状況はよくチェックしておくようにしましょう。

前の住人の手入れがよかった家は、購入希望者も安心して買う気になるものなので、普段からていねいな暮らしをするように心がけてください。

(3)不動産価値を下げないためのリフォームを行う

不動産価値を下げないためのリフォームを行うようにしましょう。どんなに大事に使っていたとしても、年数が経てば、家は傷んだり古くなるからです。

壁紙など、見える部分をリフォームすることを考えがちですが、見えない部分で老朽化しているところをリフォームしたほうが購入希望者に好印象を与えます。中古の家を買う人は、その家に長く暮らしていくことを想定して、見えない部分に瑕疵がないかチェックしてから購入を決めるからです。

新築から10年以上経っている物件は、中古住宅の購入希望者が気にする水回りのリフォームだけでも行なっておくことをおすすめします。

(4)高く売ってくれる不動産会社を見つける

高く売ってくれる不動産会社を見つけることも重要です。不動産会社によって、得意・不得意があり、あなたの家を売るのが得意な不動産会社を見つけられなければ、高く売ることはできないからです。

一戸建ての売却が得意な不動産会社、マンションのほうが得意な会社などさまざまです。物件の所在地が地方の場合は、その土地の不動産状況にくわしい地元密着型の不動産会社に売却を依頼したほうがいい場合もあります。

家を売るときに不動産会社選びを間違えると、数百万円単位で売却額が変わってしまうということを覚えておきましょう。

3. 住み替えを失敗させないためにやるべき2つのこと

住み替えを失敗させないために必ずやっておくべきことを2つご紹介します。

3-1.「売り」「買い」のタイミングをできるだけ合わせるようにスケジュールを立てる

「売り」と「買い」のタイミングをできるだけ合わせるようにスケジュールを立てることが大切です。今住んでいる家を売るタイミングと、新居を買うタイミングをできる限り間が空かないようにすることで、ムダな出費が抑えられるからです。

住み替えにはいくつかパターンがありますが、売却してから新しい家を買う「売り先行」と新居を購入してから家を売る「買い先行」の2つが主流です。

売り先行の住み替えでは、新居が決まるまでの間に仮住まいをする必要があり、そのぶんの費用がかかります。買い先行の場合は、新居に引っ越してから売るので仮住まいの必要はないものの、家がなかなか売れないと、家が売れるまでの間、前の家のローンを払い続けなくてはならず、維持費用が余計にかかってしまいます。

このふたつのタイミングをできる限り合わせるようにすれば、余計な費用がかからず、スムーズに住み替えを行うことができるのです。住み替えを実行する前には十分な準備期間を設けて、できるだけタイミングをずらさないように計画を立てるようにしましょう。

3-2. どうしても売れなかった場合に備えて「買い換え特約」を交渉する

今住んでいる家がどうしても売れなかった場合に備えて「買い換え特約」を交渉することも考えましょう。

◎買い替え特約(停止条件付き特約)とは
今の家を売って次の家の資金にしたいが、先に新居を購入したい場合に「◯月◯日までに自宅を◯◯万円以上で売却できなかった場合には、契約を解約できる」といった特約をつけて売買契約をします(同時に手付金も払う)。実際に、期日までに家が売れなかった場合は契約が白紙になり、手付金も戻ってきます。特約をつけるのには、購入予定の新居の売主の同意が必要です。

買い替え特約は、家を買う方(買主)にはメリットがありますが、売る方(売主)にはメリットがないので、買い替え特約をOKしてくれる売主はあまり多くないのが現状です。

最終的には、不動産会社に家を買い取ってもらうという手段もあります。買取サービスを取り扱わない不動産会社もありますから、売却を依頼する不動産会社を選ぶ際にはよく確認をしてから契約しましょう。

4. まとめ

家の購入は「人生を賭けた買い物」という時代はすでに過ぎ去っています。今後、家の住み替えは、家を買った人間なら誰にでもあり得るライフサイクルの中のひとつのイベントとなっていくのかもしれません。

とはいえ、大きなお金が動くことには変わりがないので、くれぐれも資金繰りで無理をすることがないように、ローンを組む場合は慎重に返済計画を立てましょう。

これから初めての新居を購入予定の方も、この記事をぜひ参考にして、これから起こりうる住み替えに今から備えてくださいね。

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