[最新・2018年度版]不動産売却後の確定申告のやり方を解説!

不動産売却 確定申告

「不動産を売却した場合の、確定申告のやり方が知りたい」と情報を探っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に会社員の方の中には、「そもそも確定申告をしたことがないので、何から手をつければよいのかわからない」と途方に暮れている方もいらっしゃるかもしれません。

不動産売却後の確定申告について、まず把握しておいていただきたいのは、確定申告の義務があるのは、不動産を売却して“利益が出た場合”のみ、ということです。不動産を売却して“損失が出た場合”は確定申告の義務はありません。ですが、損失が出た場合には、確定申告をすると税金の控除が受けられることもあるため、ぜひ、自身のケースではどうかぜひ探ってみてください。

この記事では、不動産売却後の確定申告について、“利益が出た場合”と“損失が出た場合”に分けてご紹介してまいります。確定申告の手順や必要書類などの基礎知識をはじめ、「税金の控除が受けられる(利益が出た場合・損失が出た場合それぞれの)特例」などの押さえておきたい情報まで、もれなく解説してまいります。ぜひ、参考にしてください。

1. 不動産を売却して“利益が出た場合”は確定申告が必要

導入部でもお伝えした通り、不動産を売却して利益が出た場合は確定申告が必要です。

“利益が出た”というのは、具体的にどういうことかというと、下記計算式の「課税譲渡所得金額」がプラスとなることを指します。

一方で、下記計算式の「課税譲渡所得金額」がマイナスとなれば“損失が出た”ということになります。損益が出た場合、必ずしも確定申告の必要はありませんが、確定申告をすると、税金の控除が受けられる可能性があります。

譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額= 課税譲渡所得金額

参考:国税庁HP「土地や建物を売ったとき」

「難しそうな計算式…」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、一つひとつの言葉の意味がわかれば、一般の方でも上記計算式を使って「課税譲渡所得金額」を簡単に計算することができます。

譲渡価額とは
ズバリ、不動産の売却額のことです。
取得費とは
過去に、自身が不動産(今回売却した不動産のこと)を取得する際に支払った費用を指します。

[取得費に含まれる費用例]
・不動産の購入代金(※下記【注意!】参照)
・不動産購入時に不動産会社に支払った仲介手数料
・不動産購入時に支払った印紙代、不動産取得税
・土地の取得に際して支払った土地の測量費 など

【注意!】建物は、購入費がそのまま取得費とはならない!
建物の取得費を算出する場合、上記費用から「減価償却費相当額」を控除する必要があります。たとえば4,000万円で建物を購入した場合、4,000万円まるごと取得費とするのではなく、減価償却費相当額を控除した残額を取得費とすることになります。

【減価償却費の計算方法】
減価償却費=不動産(建物)の購入代金×0.9×償却率×経過年数

[償却率]
・木造⇒償却率:0.031
・木骨モルタル⇒償却率:0.034
・鉄骨・鉄筋コンクリート⇒償却率:0.015

ちなみに、取得費が不明な場合(不動産を購入したのがかなり前で売買契約書等が残っていない、相続した不動産のため取得費がわからないなど)は、譲渡価額(売却額)の5%相当額を取得費として計算可。また、実際の取得費が譲渡価額(売却額)の5%を下回る場合も、譲渡価額(売却額)の5%相当額を取得費とすることができます。

譲渡費用とは
不動産の売却にかかった費用のことです。
[譲渡費用に含まれる費用例]
・不動産売却時に支払った仲介手数料
・不動産売却時に支払った印紙代
・(建物を取り壊して土地を売却した場合)取り壊し費用 など
特別控除額とは
マイホームを売却した場合、特例として、特別控除が受けられることがあります。たとえば、マイホームを売却して利益が出た場合(その他にも適用要件あり)、3,000万円の特別控除を受けることができます。

※その他にも、特別控除を受けられるケースがあります。詳しくは、下記2232もしくは、国税庁HPにてご確認ください。

課税譲渡所得金額とは
上記計算式で算出した、この課税譲渡所得金額をもとに支払うべき所得税および住民税を算出します(※課税譲渡所得金額がプラスとなった場合のみ)。

<所得税および住民税の計算方法>
・譲渡所得金額×税率=所得税・住民税

[税率]
<長期譲渡所得>
所得税15.315%+住民税5%⇒計20.315
<短期譲渡所得>
所得税30.63%+住民税9%⇒計39.63

不動産を売却した年の11日現在で、その不動産の所有期間が5年を超える場合<長期譲渡所得>、5年以下の場合<短期譲渡所得>。

※上記の所得税には、復興特別所得税(2037年まで)2.1%も加算しています。

 

まずは、上記計算式にて、課税譲渡所得金額を算出いただき、課税譲渡所得金額がプラスの方は2章を、マイナスの方は3章を参照ください。

2.不動産を売却して“利益が出た場合”~確定申告の手順~

ここでは、不動産を売却して“利益が出た場合”の確定申告の手順を詳しくご紹介してまいります。

2-1.必要書類を準備する

書類 準備

まずは、確定申告時に提出の必要がある書類を揃えるところからはじめましょう。

必要書類を準備するにあたり、「譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額= 課税譲渡所得金額」の計算式を頭に入れておくと、何の書類が必要なのか考えやすいかもしれません。なぜならば、必要書類の多くが、上記の価格や費用を証明するためのものだからです。

[作成が必要な書類]
・確定申告書B第一表、第二表
・確定申告書第三表(分離課税用)
・譲渡所得の内訳書
※上記について詳しくは、「2-3.確定申告書を作成する」にてご確認ください。

[お手持ちの資料]※コピーでも可
■譲渡価格および譲渡費用を証明するための書類(不動産売却に関する書類)
・不動産売却時の売買契約書
・不動産売却時の仲介手数料や印紙代の領収書 
・固定資産税精算書 など

■取得費を証明するための書類(不動産購入に関する書類)※取得費が明らかな場合
・不動産購入時の売買契約書
・不動産購入時の仲介手数料や印紙代の領収書
・固定資産税精算書 など

2-2.「特別控除」に必要な書類もあわせて準備が必要

下記、特別控除の特例を受ける場合、別途、書類を揃える必要があります。

●マイホームを売却|3,000万円の特別控除の特例
マイホームを売却した場合、最高3,000万円の控除が受けられます。
※譲渡所得【譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)】が3,000万円に満たない場合は、特別控除額は、譲渡所得の金額が上限となる。

譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 3,000万円= 課税譲渡所得金額

[必要書類]
・戸籍の附票の写し
・消除された戸籍の附票の写し など

3,000万円の特別控除の特例について詳しくは、国税庁HPにてご確認ください。
[参考]国税庁HP「マイホームを売ったときの特例」

●所有期間10年超のマイホームを売却|軽減税率の特例
自分が住んでいたマイホームを売却した年の1月1日時点で、そのマイホームの所有期間が10年を超えている場合に受けられる特例。マイホームを売却した場合に受けられる3,000万円の特別控除を適用した後の「課税譲渡所得金額」に対して、下記の軽減税率で税額を算出できる。

課税譲渡所得金額 所得税 住民税
6,000万円までの部分 10.21% 4% 14.21%
6,000万円を超える部分 15.315% 5% 20.315%

※上記の所得税には、復興特別所得税(2037年まで)2.1%も加算しています。

[必要書類]
・(売却した建物の)登記事項証明書 ※原本 など

軽減税率の特例について詳しくは、国税庁HPにてご確認ください。
[参考]国税庁HP「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」

マイホームの買換え(交換)の特例
マイホームを売却し、新たにマイホームを購入した場合に、一定の用件に該当する場合は、譲渡益の課税を将来に繰り延べることができる。

[必要書類]
・(売却したマイホームの)登記事項証明書 ※原本
・(売却したマイホームの)売買契約書の写し
・(新たに取得したマイホームの)登記事項証明書 ※原本
・(新たに取得したマイホームの)売買契約書の写し
・(新たに取得したマイホームの)耐震基準適合証明書など ※建築後25年を超える中古の建築物の場合など

買換え(交換)の特例について詳しくは、国税庁HPにてご確認ください。
[参考]国税庁HP「特定のマイホームを買い換えたときの特例」

2-3.確定申告書を作成する

書類 作成

必要書類の準備とあわせて、確定申告書の作成も進めましょう。

具体的には、21でご紹介した、下記書類を作成していきます。
・確定申告書B第一表、第二表 
・確定申告書第三表(分離課税用)
・譲渡所得の内訳書 など

税務署で上記書類をもらって作成するというやり方もありますが、オススメは国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使っての作成です。

「確定申告書等作成コーナー」は、画面に表示される内容にそって記入していくと書類が作成できるようになっているので、自身で紙に記入するよりも簡単に書類の作成ができます。なお、「確定申告書等作成コーナー」は、自宅のパソコンなどからでもアクセスして使用することができます。

上記書類の記入方法について詳しくは、国税庁資料にてご確認ください。
[参考]国税庁HP「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」

2-4.税務署で手続きを行なう

確定申告書類等は、不動産を売却した年の翌年216日~315日の間に提出する決まりです。期限を過ぎると、場合によっては無申告加算税・延滞税がかかることもありますので、必ず期限内に提出しましょう。

提出は、税務署に持ち込むか、もしくは郵送でも提出できます。近年は、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を使って、インターネットで提出することも可能となっています。

※e-Taxを利用する場合、電子証明書およびICカードリーダライタ等の準備が必要です。

3.不動産を売却して“損失が出た場合”~確定申告の手順と活用できる特例~

ここでは、不動産を売却して“損失が出た場合”の確定申告の手順と活用できる特例を詳しくご紹介してまいります。

3-1.確定申告の流れは、“利益が出た場合”と同じ

不動産を売却して“損失が出た場合”の確定申告の手順は、2章でご紹介した“利益が出た場合”とほぼ同じです。そこで、確定申告の手順については、2章にてご確認ください。

ただし、1点だけ、“利益が出た場合”と“損失が出た場合”とでは受けられる特例は異なりますので、“損失が出た場合”の特例は、【22.「特別控除」に必要な書類もあわせて準備が必要】ではなく、下記【32.“損失が出た場合”の「特別控除」】にてご確認ください。

3-2.“損失が出た場合”の「特別控除」

所有期間5年を超えるマイホームを売却して“損失が出た”場合、下記の特例を受けられる可能性があります。
1章でご紹介した通り、下記計算式の「課税譲渡所得金額」がマイナスとなれば、“損失が出た”ということになります。

譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額= 課税譲渡所得金額

具体的には、「課税譲渡所得金額」がマイナスとなった場合、下記特例を受けることで、その他の所得と損益通算することができます。さらに、損益通算しきれなかった残マイナス分のある場合、翌年以後3年以内にわたって繰越控除することも可能です。

損益通算とは
各種所得金額の計算上生じた損失額のうち一定のものをその他の各種所得金額から控除すること。

参考:国税庁HP「損益通算」

●マイホームを売却して、新しくマイホームを買い換えた場合の特例
マイホームの譲渡損失の金額(マイナスの課税譲渡所得金額)について、損益通算および繰越控除できる。

<特例の適用要件>※一部抜粋
・マイホームの所有期間が売却した年の11日現在で5年を超える
・新たなマイホームの取得
・新たに取得したマイホームの住宅ローン(償還期間10年以上) 

[必要書類]
・(売却したマイホームの)登記事項証明書 ※原本
・(新たに取得したマイホームの)登記事項証明書 ※原本
・(新たに取得したマイホームの)住宅借入金等の残高証明書 など

マイホームを売却して損失が出た場合の特例(買い換えた場合)について詳しくは、国税庁HPにてご確認ください。
[参考]国税庁HP「マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」

●マイホームを売却して、新しくマイホームを買い換えない場合の特例
売却したマイホームの住宅ローンから譲渡価額(売却額)を差し引いた残額を限度として、損益通算および繰越控除できる。

<特例の適用要件>※一部抜粋
・マイホームの所有期間が売却した年の11日現在で5年を超える
・売却したマイホームの住宅ローン残高

[必要書類]
・(売却したマイホームの)登記事項証明書 ※原本
・(売却したマイホームの)住宅借入金等の残高証明書(売買契約締結日の前日のもの)など

マイホームを売却して損失が出た場合の特例(買い換えない場合)について詳しくは、国税庁HPにてご確認ください。
[参考]国税庁HP「住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」

3-3.特例の繰越控除を受けるためには、翌年以降も確定申告が必要

「確定申告は1度でOK」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、損失が出た場合の特例を受ける場合は、その限りではありません。翌年も損失が出た場合の特例である繰越控除を受けるためには、改めて確定申告をする必要があるため、注意しましょう。いつまで確定申告が必要かは、繰越控除の額(いつまで繰越控除を受けるか)にもよりますが、マイホームを売却した翌年以降、最長3年にわたり、確定申告をしなければならない可能性があります。

特例の繰越控除を受ける場合には、“自身が何年にわたり控除を受けるのか”、そして、“控除を受けるためには連続して何年まで確定申告をする必要があるのか”を、予め把握しておきましょう。

4.まとめ

不動産を売却したら、まずは、不動産を売却して利益が出たのか、損失が出たのか(「課税譲渡所得金額」がプラスとなるかマイナスとなるか)を算出してみましょう。その上で、利益が出ている場合は確定申告に向けて準備を進め、損失が出ている場合は、確定申告をすることで控除ができないかを探ってみてください。

特に会社員の皆様は、慣れない確定申告にとまどわれることもあるかと思いますが、ポイントさえ押さえておけば、確定申告はさほど難しい作業ではありません。ぜひ、上記ご紹介した内容も参考に、ポイントを押さえて確定申告を進めてまいりましょう。

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