
不動産を売却するとすれば、「いくらで売れるのか」「いくら手元に残るのか」が気になっている方もいるでしょう。
実際いくらになるかは、「売却してみないとわからない」というのが、実際のところです。とはいえ、売却するまで何もわからないというわけではありません。「おおよそ、いくらで売れそうか」「おおよそ、いくら手元に残りそうか」といった、おおよその価格であれば、自身でシミュレーションすることも可能です。
この記事では、不動産売却にまつわるお金「売却額」「費用」「税金」「手元に残るお金」をシミュレーションする方法をご紹介します。実際に自身でも算出いただけるよう、かみ砕いて解説してまいりますので、ぜひ、参考にしてください。
目次
1. 不動産の「売却額」「手元に残るお金」などをシミュレーションする方法
ここでは、不動産を売却した場合の「1-1.売却額」「1-2.費用」「1-3.税金」「1-4.手元に残るお金」のシミュレーション方法をご紹介します。
1-1. 不動産の【売却額】をシミュレーション
不動産の売却額は、住所や間取り、築年数などの情報をもとに、ある程度、自身でもシミュレーションすることが可能です。
オススメの方法は、「売却予定の不動産と似た」不動産の売却情報を参考にシミュレーションするというやり方です。「場所が似ている」「間取りが似ている」「築年数が似ている」など、売却予定の不動産に類似している不動産の売却額をチェックすることで、おおよその売却額を掴むことができます。
信ぴょう性の高い「不動産の売却額情報」が入手できるのは、国土交通省の『土地総合情報システム』。もしくは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営する『レインズマーケットインフォメーション(不動産取引情報提供サイト)』です。
※直近1年の売却額のみ検索可。実際の売却額が掲載されているので、「似たような不動産が実際にいくらで売却されたか」が調べられます。
他には、似た条件の不動産が実際にいくらで売りに出されているか、不動産物件の情報サイト等でチェックするという方法もあります。ただし、この方法で得られるのはあくまで「売り出し価格」であって、「売却額」ではないので、参考程度に活用するのが良いでしょう。
1-2. 不動産売却にかかる【費用】をシミュレーション
不動産売却にかかる費用の大半は、不動産会社に支払う「仲介手数料」です。
そのため、「費用がいくらかかるのか」は仲介手数料をシミュレーションすることでおおよそ掴むことができます。
そして、仲介手数料は、宅地建物取引業法で上限額が定められているため、「最高いくらかかるのか」は、下記計算式によって、自身でもシミュレーション可能です。
[仲介手数料の上限額(宅地建物取引業法)]
売却価格 |
仲介手数料 |
200万円以下の金額 |
売却価格の5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の金額 |
売却価格の4%+20,000円+消費税 |
400万円を超える金額 |
売却価格の3%+60,000円+消費税 |
参考:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
【仲介手数料(上限額)をシミュレーション】
例)不動産を2,000万円で売却した場合(消費税10%)
2,000万円×3%+60,000円=660,000円
660,000円の消費税10%⇒66,000円
⇒660,000円+66,000円=726,000円
つまり、不動産を2,000万円で売却した場合、手数料の上限額は726,000円ということです。仲介手数料はこの金額以下になることはあっても、これ以上かかることは絶対にありません。
仲介手数料以外に、考えられる【費用】としては、住民票や印鑑証明書などの発行手数料(1枚につき数百円)。その他、場合によっては、測量費用、解体費、引っ越し費用などがかかることもあります。
1-3. 不動産を売却した時にかかる【税金】をシミュレーション
そもそも、「不動産を売却した時にどんな税金がかかるのか」というと、売買契約前後には「印紙税」「登録免許税」「消費税」が、不動産売却後には「住民税」「所得税」「復興特別所得税」がかかる可能性があります。
不動産を売却した時にかかる可能性のある税金まとめ
売買契約前後にかかる税金 |
印紙税 |
登録免許税 |
|
消費税 |
|
不動産売却後にかかる税金 |
住民税 |
所得税 |
|
復興特別所得税 |
下記、具体的に税金額をシミュレーションしてまいります。
【売買契約前後にかかる税金をシミュレーション】
①印紙税をシミュレーション
不動産の売買契約書は課税文書にあたるため、下記表の印紙税がかかります。
例)契約金額(売買契約書に記載された契約金額)が2,000万円の場合
⇒印紙税額は、1万円(2020年3月31日まで)となります。
[印紙税額]
契約金額 |
印紙税額 |
|
本則税率 |
軽減税率 |
|
1万円未満のもの |
非課税 |
- |
1万円以上10万円以下のもの |
200円 |
- |
10万円を超え50万円以下のもの |
400円 |
200円 |
50万円を超え100万円以下のもの |
1,000円 |
500円 |
100万円を超え500万円以下のもの |
2,000円 |
1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの |
1万円 |
5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの |
2万円 |
1万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの |
6万円 |
3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの |
10万円 |
6万円 |
※不動産売買契約書に記載された契約金額が1万円未満は非課税。また、10万円以下のものは、軽減措置の対象とならない。
印紙税について
【参考】国税庁「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
不動産売買契約書の印紙税の軽減措置について
【参考】国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
【登録免許税をシミュレーション】
不動産を売却する際には、抵当権抹消の手続きが必要となります。「登録免許税」とは、抵当権抹消登記にかかる税金のことです。
登録免許税の計算式は、下記の通りです。
不動産の数×1,000円=登録免許税の税額
例)土地・建物、あわせて2つの不動産の抵当権を抹消する場合
⇒2(土地+建物)×1,000円=2,000円
つまり、この場合、登録免許税は2,000円となります。
※不動産登記法では、登録免許税は売主と買主の双方が負担するように定められていますが、一般的に買主が全額負担するというのが慣行となっています。
※司法書士に手続きを依頼する場合は、別途、司法書士への報酬がかかります。
【(仲介手数料の)消費税をシミュレーション】
個人が居住用に所有していた不動産を売却する場合、売却額に消費税は加算されません。基本的に、一般の方が不動産を売却した時に支払う消費税は、「仲介手数料」に加算される分だけです。
[仲介手数料の上限額(宅地建物取引業法)]
売却価格 |
仲介手数料 |
200万円以下の金額 |
売却価格の5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の金額 |
売却価格の4%+20,000円+消費税 |
400万円を超える金額 |
売却価格の3%+60,000円+消費税 |
※仲介手数料について詳しくは、1-2を参照ください。
例)不動産を2,000万円で売却した場合(消費税10%)
⇒2,000万円×3%+60,000円=仲介手数料660,000円
660,000の消費税10%⇒消費税66,000円
[不動産売却後にかかる税金をシミュレーション]
不動産売却後は、不動産を売却して「利益が出た場合のみ」税金がかかります。
利益が出たかどうかは、下記計算式の[課税譲渡所得金額]によって判断します。[課税譲渡所得金額]がプラスとなった場合は、利益が出たということになり、税金がかかります。
譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)-特別控除額= 課税譲渡所得金額
譲渡価額 |
不動産の売却価格のこと。 |
取得費 |
過去に、不動産(今回売却する不動産のこと)を取得する際に支払った費用。 |
譲渡費用 |
不動産の売却にかかった費用。 |
特別控除額 |
マイホームを売却して利益が出た場合(その他にも適用要件あり)、3,000万円の特別控除を受けることができる。 |
上記の計算方法について詳しくは、下記記事を参照ください。
[最新・2018年度版]不動産売却後の確定申告のやり方を解説!
【住民税・所得税・復興特別所得税をシミュレーション】
住民税・所得税・復興特別所得税は、下記計算式で算出することができます。税率は、下記表を参照ください。
課税譲渡所得金額×税率=住民税
課税譲渡所得金額×税率=所得税・復興所得税
[税率]
不動産を売却した年の1月1日現在で、その不動産の所有期間が5年を超える場合[長期譲渡所得]、5年以下の場合[短期譲渡所得]となります。
|
住民税 |
所得税・復興特別所得税 |
長期譲渡所得 |
5% |
15.315% |
短期譲渡所得 |
9% |
30.63% |
※参考:国税庁「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
例1)マイホーム(所有期間5年超)の譲渡価額2.000万円、取得費100万円、譲渡費用738,000円の場合
譲渡価額2,000万円-(取得費100万円+譲渡費用738,000円)-特別控除額3,000万円=-11,738,000円
課税譲渡所得金額は-11,724,800円とマイナスになるため、この場合、住民税、所得税、復興特別所得税はかかりません。
※譲渡費用738,000円は、ここまでのシミュレーションをもとに算出した印紙税1万円、登録免許税2,000円、仲介手数料726,000円を足したものです。
例2)マイホーム(所有期間5年超)の譲渡価額1億円、取得費500万円、譲渡費用3,336,800円の場合
譲渡価額1億円-(取得費500万円+譲渡費用3,398,000円)-特別控除額3,000万円=61,602,000円
⇒住民税:61,602,000×5%(長期譲渡所得)=3,080,100円
⇒所得税・復興特別所得税:61,602,000×15.315%(長期譲渡所得)=9,434,346.3円
※譲渡費用3,398,000は、ここまでのシミュレーションをもとに算出した印紙税30,000円、登録免許税2,000円、仲介手数料3,366,000円を足したものです。
※取得費は譲渡価額の5%で計算しています。
※上記はあくまで、一例です。取得費、譲渡費用等さまざまな条件によって、住民税・所得税・復興特別所得税が上記と大きく異なることもあります。
「マイホームを売却した場合」、「マイホームを売却して損失が出た場合」などは、一定の要件を満たせば、上記の特別控除3,000万円以外の控除が受けられる可能性があります。詳しくは、下記記事を参照ください。
【徹底解説!】不動産を売却した時に、税金はいくらかかる?
1-4. 不動産売却後、【手元に残るお金】をシミュレーション
手元に残る金額は、「1-1の売却額」から、「1-2の費用」「1-3の税金」を引いた額です。1-1~1-3までシミュレーションできれば、手元に残るお金は下記計算式にあてはめて、簡単にシミュレーションできます。
譲渡価額-費用-税金=手元に残るお金
例1)譲渡価額2.000万円、譲渡費用738,000円、税金0円の場合
譲渡価額2,000万円-譲渡費用738,000円-税金0円=手元に残るお金19,262,000円
例2)譲渡価額1億円、譲渡費用3,398,000円、住民税3,080,100円、所得税・復興特別所得税9,434,346.3円の場合
譲渡価額1億円-譲渡費用3,398,000円-住民税3,080,100円-所得税・復興特別所得税9,434,346.3円=手元に残るお金 約84,087,000円
※上記はあくまで、一例です。さまざまな条件等によって、手元に残るお金が上記と大きく異なることもあります。
シミュレーションを経て、実際に不動産の売却に向けて動き出すならば、まずは一括査定サイトで信頼できる不動産会社を見つけるところからはじめましょう。
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2. まとめ
この記事では、不動産売却にまつわるお金「売却額」「費用」「税金」「手元に残るお金」をシミュレーションする方法について、具体的にご紹介してまいりました。
いかがでしたか?
売却額は相場観をもとに、費用・税金は定められた税率や計算式をもとに、手元に残るお金は売却額・費用・税金の算出結果をもとに、自身でもシミュレーションすることが可能です。
ぜひご紹介した情報を参考に、「いくらで売れるのか」「いくら手元に残るのか」など、気になる金額をシミュレーションしてみてください。
(2019/12/18追記:本記事の掲載内容は、2018/11/6公開日時点での情報です。消費税増税に伴い、一部の表記を修正いたしました。)
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