
毎年支払わなければいけない固定資産税ですが「少しでも節税できたら嬉しい」とお考えではありませんか?
固定資産税は1度払えば終わりの税金ではありません。家を所有している期間は継続して、毎年毎年払い続けなければいけません。金額も決して安くないため、家計への負担も大きいでしょう。
そんな固定資産税ですが、場合にによっては1/6に減らすことも可能です。状況にもよりますが、効果的な節税方法を選択し実践していただくことで、それだけの効果を得ることができます。
そこでこの記事では、固定資産税を節税するための方法を3つ紹介します。
①固定資産税の評価ミスや課税ミスがないかチェックする
②複数の用途で使用している土地は分筆する
③収益で固定資産税の負担を軽減!アパートや駐車場経営を始める
これらの方法を実践していただくことで、毎年かかる固定資産税の負担を減らすことができるでしょう。
ぜひ実践してみてください。
目次
1. 固定資産税を節税する3つの方法
さっそく、今所有している不動産の固定資産税を節税する具体的な方法下記3つをご紹介します。
- 固定資産税の評価ミスや課税ミスがないかチェックする
- 複数用途で使用している土地は分筆する
- 収益で固定資産税の負担感減!アパートや駐車場経営をはじめる
1-1. 固定資産税の評価ミスや課税ミスがないかチェックする
固定資産税の評価ミスや課税ミスがないか見直してみることで減税できる場合があります。軽減特例などは不適用になっている場合も多いので、一度、じっくり明細書をチェックしてみることをお勧めします。毎年4月に送られてくる「課税明細」をお手元にご用意いただき、この章をお読みください。チェックする場合は、土地と建物に分けてチェックします。
固定資産税の明細書の書式は、各自治体によって違いがありますが、大まかな項目は共通しているので、東京都主税局の明細書の見方を参考にしてください。
具体的なチェックする項目と申請については、下記のようになります。
①土地の課税ミスのチェック項目
・住宅用地の軽減特例の適用がされているか
土地については、この軽減特例が適用されていないことによる課税ミスが多いので確認しましょう。
◉小規模住宅用地の特例
住宅用地のうち、住戸1戸あたり200平米までの部分が小規模住宅用地となり、固定資産税と都市計画税が軽減されます。
賃貸住宅の場合は、200平米×戸数の面積に適用できる特例です。
特例措置 |
|
小規模住宅用地 |
固定資産税 評価額×(6分の1) |
都市計画税 評価額×(3分の1) |
|
一般住宅用地 |
固定資産税 評価額×(3分の1) |
都市計画税 評価額×(3分の2) |
②建物の課税ミスのチェック項目
・登記上の面積と課税明細上の床面積を比較してみる
法務局に出向いて、自宅の登記事項証明書を取得します。登記上の床面積、課税明細(名寄帳)上の床面積を比較し、課税明細(名寄帳)上の床面積のほうが大きい場合は、固定資産税を払い過ぎている可能性があります。
・周辺の建物と比較してミスの有無を推測する
物件周辺の建物の固定資産税額がわかれば、自分の所有物件と比較することで課税ミスを発見できる場合があります。総覧帳簿(そうらんちょうぼ)の閲覧制度(毎年4月1日から1、2ヶ月間は閲覧可能 *市区町村によって異なる)を利用し、周辺建物の固定資産税額を調べることが可能です。
周辺の建物と比較した結果、自分の固定資産税が高いと感じた方は課税ミスの可能性を疑っても良いでしょう。
*下記のチェック項目は、明細書に記載されている場合がほとんどですから、明細書の内容をよくチェックしてください。
・新築、長期優良住宅及び、耐震、バリアフリー、省エネなど改修住宅に対する固定資産税の減免措置は適切か
・家屋滅失された場合は反映されているか(家屋を取り壊した場合、「家屋減失登記」を法務局に届け出ます。)
・増築・減築等は反映されているか(減築リフォームを行うことで、減額できる場合があります。)
③申請の仕方
土地や建物の評価額に不満がある場合、納税通知書の交付を受けた日の翌日から60日以内に審査の申し出を行いましょう。審査申し出の方法は市区町村によって異なりますので、ここでは注意ポイントを紹介します。
【申請時の注意ポイント】
(1)税金の還付には「還付請求」をする必要がある
指摘した課税ミスが認められただけでは税金は戻ってきません。確実に税金を還付してもらうには、「払い過ぎた税金を返還してほしい」と還付の請求をする必要があります。
(2)税金の還付は原則5年分
過去に遡って還付してもらえる期間ですが、法律上は最長5年分までとなっています。自治体の条例によっては5年以上(10年~20年)の還付が可能な自治体もありますので、何年分まで遡って還付が認められるのか調べておきましょう。
(3)行政側と交渉する場合、回答はすべて書面に残す
申請を行っても、「~という決まりになっています」「~することになっています」といった回答で行政側はあなたの請求を棄却してしまうケースもありますので注意しましょう。
交渉がこじれた場合のことを想定して、行政側の主張はメモに残したり、そのメモに行政側の担当者に署名をしてもらうなど対策を取るようにして必ず証拠を残すようにしましょう。
1-2. 複数用途で使用している土地は分筆する
土地は一筆(いっぴつ)、二筆(にひつ)といったように、「筆(ふで)」の単位で数えます。分筆(ぶんぴつ)とは、一筆の土地を登記簿上で数筆の土地に分割することを言います。固定資産税は、基本的に一筆ごとに評価しているので、複数の用途で使用しているのであれば、分筆して評価を分けることで節税することが可能になります。
たとえば、固定資産税路線価の異なる2つの道路に面している一筆の土地で、敷地内に親の自宅と子の自宅が建っている場合や、自宅とアパートなどの賃貸住宅が一筆になっている場合などは、分筆することで節税できます。
【分筆の流れ】
分筆は、通常、土地家屋調査士に依頼して行います。分筆の流れは以下のようになります。
トータル期間は早くて1ヶ月程度、ケースによっては3ヶ月程度かかる場合もあります。
①土地家屋調査士に相談・依頼
②法務局・役所で調査(公図、地積測量図、登記事項証明書、確定測量図)
③現地予備調査
④現地立会い(役所、隣地土地所有者)、境界(筆界)確認成立
⑤境界確定測量
⑥分筆案の作成
⑦境界標の設置
⑧登記書類の作成
⑨登記申請
【分筆にかかる大まかな費用】
測量費:10万円~
筆界確認書作成費:10万円~
官民境界確定図作成費:10万円~
境界標設置費:10万円~
登記申請費:5万円~
登録免許税:分筆後の筆数×1000円
土地の所在地などによって費用は変わります。場所によっては測量・登記費用はかなり高額(合計で100万円を超えることもある)になる場合があるので、節税可能な固定資産税額を計算し、分筆費用と比較して得するのはどちらなのかをよく検討する必要があります。
*ただし、全ての土地が分筆できるわけでなく、分筆しても節税にならないケースもあるので注意が必要です。
◆分筆できないケース
・面積0.01平米未満になる分筆は不可
・市街化調整区域では一筆の土地の最低面積が決まっていることがある
(その場合は、分筆後の各々の土地面積が最低基準面積以上にならなければ分筆不可)
◆分筆しても節税にならないケース
・分筆後も1名の相続人が土地を全部相続した場合
・相続税の節税だけを目的にされたと考えられる場合
・合理的でない分筆の場合
例1:四角ではない不整形な土地を生み出すような分筆
例2:道路のない土地を生み出すような分筆
1-3. 収益で固定資産税の負担感減!アパートや駐車場経営を始める
古家を空き家のままで放置していたり、土地を更地で所有しているだけでも固定資産税は毎年徴収されてしまいます。このような物件をなんとかしたいと考えている方は、アパートや駐車場の経営を始めることで節税することが可能になります。
もともと更地だった場合、仮にアパート経営を始めると、土地の固定資産税は最大で6分の1にまで軽減できます。さらに家賃収入が見込めますので、固定資産税の負担の大幅な軽減が期待できます。
【節税の例】
更地の状態で土地を所有していた場合に、かかる固定資産税は課税標準額×1.4%(標準税率)、都市計画税は課税標準額×0.3%(上限)です。
この土地に賃貸経営用のアパートを建設すると土地の固定資産税は6分の1に減額されます。
ただし、建物の固定資産税が加わるため、その分負担が増えることもあります。更地と建物を建てたときの土地と建物の固定資産税にどのような違いがあるか、下表を参考にしてみてください。
・住宅用建物を建てると、小規模住宅用地の特例で、1戸につき200平米まで土地の固定資産税は1/6に、都市計画税は1/3になります。200平米を超えた部分に関しては、固定資産税は1/3、都市計画税は2/3になります。
・建物の固定資産税は、新築後3年間は1/2になります(表中「※」で記載)。
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【補足】空き家を放置すると固定資産税が増額されます
もし、あなたが状態の悪い空き家を放置している場合は、早急に対策を取るようにしてください。適切な管理が行われていない空き家(特定空き家と呼ぶ)には、大幅に増額された固定資産税と都市計画税を払うことになるかもしれないからです。
増え続ける空き家が社会問題化したため、平成27年5月に空き家対策特別措置法が施行されました。
以前は、空き家を解体すると土地の固定資産税等が上がってしまうことを理由に、壊れたり崩れてしまった空き家でも解体をせずに放置されてきましたが、今後は、適正な管理が行われていない空き家に対して、固定資産税・都市計画税の大幅な増税が行われます。
周囲の生活環境に対して、深刻な影響を及ぼしていると思われる空き家のことを「特定空き家」と呼びます。調査によって「特定空き家」と指定されてしまうと増税の対象となるほか、市町村は法律によって指導・勧告・命令・代執行を行うことが可能になるので、強制的に解体措置を取られてしまう恐れもあります(解体費用は物件所有者に請求される)。
特定空き家に指定される状態は以下のようになっています。
1.そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態の空き家 2.そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態の空き家 3.適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態の空き家 4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態の空き家 くわしくは、国土交通省のサイトで確認を行なってください。 |
あなたの所有物件が特定空き家に指定されることがないように、空き家はきちんと管理するようにしましょう。最近は、空き家の点検や管理を代行してくれるサービスもあります。こういったサービスを適宜利用して定期的に空き家をメンテナンスするようにしてください。
また、メンテナンスや管理を続けたとしても、物件は経年によってどんどん老朽化していくものです。再生後の利用が難しい土地の場合などは、売却することも解決策のひとつとして考えてみてください。
今すぐ不動産売却を始めるのであれば、無料で利用でき手間がかからずスムーズに売却ができる一括査定サイトの利用をおすすめします。
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2. 固定資産税を節税するときに知っておくべきこと
固定資産税を節税するときに知っておくべきことは2つあります。
・固定資産税は変動することがある
・土地活用や売却することで最大の節税が可能になる
不動産物件は個別性が高いという特徴がありますので、あなたが所有する不動産物件の条件に合わせた節税方法を見つけるようにしましょう。
2-1. 固定資産税は変動することがある(3年に一度の見直し)
固定資産税の評価額は3年ごとに評価を見直すことになっています。直近では、平成30年度に評価替えが行われており、次回の評価替えは平成33年度(2021年)となっています。原則的にはこの3年間に評価は変わらず、固定資産税についても変わりません。
しかし、土地や建物の価値は変化しているので、3年後に固定資産税額が大きく上下することもあり得ます。土地の評価が上がった場合は連動して固定資産税も上がり、評価が下がった場合は固定資産税も下がるからです。
急激に固定資産評価額が上がった場合は、納めやすい金額に減額してもらい、時間をかけながら急に上がった税金を支払っていく「負担調整措置」がありますので覚えておきましょう。
負担調整措置とは、固定資産税額が大幅に上昇したときに納めやすい金額に減額してもらえる仕組みのことです。たとえば、地価が2倍になって固定資産税の評価額が2倍になった場合でも、「評価替え前の税金×2」の税金を納める必要はなく、負担調整措置を受ければ、「昨年の税額+今年の税額の5%」を納めるだけで済みます。
負担調整措置を受ければ、納付する固定資産税額は毎年徐々に上がっていくので、納税の負担が軽減されます。
2-2. 最大限節税するには不動産の土地活用や売却が有効
節税方法の中でも、最大限の効果を出せるのは土地活用や土地の売却です。なぜなら、土地活用を行うことで土地の評価方法が変わるからです。また売却してしまえば、売却後に固定資産税を払う義務はなくなりますから、節税方法の中でも最大の効果をもたらすと言っても過言ではないでしょう。
1-3.のアパート経営の例のように、更地にしている時には適用されなかった「小規模住宅用地の特例」が適用となり、税負担率は最大で6分の1にまで削減することが可能になります。アパート経営だけでなく、その土地に合った活用方法を見つけることができれば、相当な額の節税が可能となります。
不動産物件は、個別性の強いもので、エリアの特性や広さなどによって土地の活用方法は物件それぞれに異なります。どの土地活用方法がベストなのか、素人ではなかなか見極められないことが多いので、まずはプロに相談してみることが大切です。土地を所有したまま、アパートやマンション、駐車場経営等に切り替えて固定資産税の負担を減らしたい方は、「HOME4U(ホームフォーユー) 土地活用」をぜひご利用ください。
土地を上手に活用したい方におすすめ
「今ある物件は今後利用する予定がないし、所有物件の周辺エリアの状況などを考えると活用も難しい」と感じている方は売却することも考えてみましょう。不動産売却を始めるのであれば、無料で利用できて、手間をかけずに複数の不動産会社に査定依頼が可能、査定価格の比較検討がスムーズにできる一括査定サイトの利用をおすすめします。
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まとめ
いかがでしたか。
不動産物件を所有している限り、払い続けることになる固定資産税ですが、分筆や土地活用、土地の売却をすることで節税することも可能です。
確実に節税するためには、あなたの所有する物件に一番合った節税対策を取ることですが、うまく土地が活用できていない、活用の仕方がわからないといった場合には、一度不動産のプロに相談してみることも大切です。
ご紹介した、「HOME4U(ホームフォーユー) 土地活用」をぜひ利用して、上手に節税を行なってください。