土地の相続税はいくらかかる?自分で調べる3つの簡単なステップ

税金

「所有している土地の相続税について調べたい」
「土地の相続税がいくらかかるのか知りたい」

など、親から相続した土地にどれくらいの税金がかかるのか分からない人も多いかと思います。
また、計算するのは難しいと思っている方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では「難しい」という問題を解決すべく、ご自身でも簡単に計算できるよう、たった3つのステップに分解し整理しました。

ステップ1 相続財産の確認
ステップ2 相続税の発生有無をチェック
ステップ3 土地の相続税を算出

ステップごとに確認していただくことで初めての方でも簡単に算出することができます。 

ぜひ、土地相続の算出の際の参考にしてみてください。

1. [全3ステップで概算を算出]土地の相続税はいくらかかる?

この章では、『相続税が発生するか、否か』『どのぐらい相続税が発生するか』を自身で算出する方法をご紹介いたします。

11. ステップ① 相続財産の確認

土地の相続税は、土地だけで計算することができません。

相続税は土地だけに課されるものではなく、相続財産すべてに課せられるものだからです。土地以外にも、預貯金や株式などの財産を相続する場合は、相続する財産(土地+α)すべてにかかる相続税を算出し、(相続税が発生する場合は)相続税を納めることとなります。
まずは、遺産の総額を計算する必要があるため、土地の相続税についてお伝えする前に、相続税について簡単にご説明いたします。

12. ステップ② 相続税の発生有無をチェック

まずは、『相続税が発生するか、否か』を確かめていきましょう。
そもそも土地(+α)を相続した場合に、必ずしも相続税がかかるわけではありません。下記の「課税遺産総額」がプラスとなった場合に、相続税が発生します。

①遺産総額-②債務-③非課税財産-④葬式費用-⑤基礎控除額=課税遺産総額

上記計算式について詳しくは、下記を参照ください。順番に紹介いたします。

①遺産総額
遺産の総額。預貯金や不動産、株式など、相続した財産はすべて遺産総額に含まれます。
土地については、「路線価方式」もしくは「倍率方式」と呼ばれる計算式を用いて相続税評価額を算出し、遺産総額に含めます。

「路線価方式」
路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価額(路線価)をもとに、土地の相続税評価額を算出する方法。

路線価×補正率×土地面積=土地の相続税評価額

計算例)
30万円(路線価)×1.00(補正率)×180(面積)=5,400万円(土地の相続税評価額)

路線価は、国税庁の「路線価図」にてご確認ください。
補正率については、国税庁「土地及び土地の上に存する権利の評価についての調整率表」(http://www.rosenka.nta.go.jp/docs/h30_thyousei.pdf)にてご確認ください。

「倍率方式」
路線価が定められていない地域では、その土地の「固定資産税評価額」に一定の倍率を掛けて、その土地の相続税評価額を算出します。

固定資産税評価額×倍率=土地の相続税評価額

計算例)
固定資産税評価額が4,000万円、倍率が1.1の場合
4,000万円×1.14,400万円(土地の相続税評価額)

倍率は、「評価倍率表」(http://www.rosenka.nta.go.jp/)にてご確認ください。
固定資産税評価額は、固定資産税の納税通知書に添付されている「課税明細書」にて確認できます。

[参考]国税庁HP「土地家屋の評価」

[注意!]一般の方が算出できる土地の相続税評価額は、「あくまで概算」

土地の相続税評価額を算出する方法を2つご紹介いたしましたが、算出できるのは、あくまで概算だということは、ぜひ頭に入れておいてください。一般の方が、自身で正確な土地の相続税評価額を算出するのは、まず無理です。

例えば、いびつな形状の土地・路線に接する間口が狭い土地などは、評価額が減額されるなど、土地は形状や利用形態によって評価額が変わるケースが少なくないためです。一般の方がこうした専門性の高い土地の評価規定を理解し、自身の土地がどの規定にあてはまるかを見極めるのは至難の業です。また、売却を視野に入れている場合、実際の価格と路線価には違いがあるため、きちんと知識がないと、損をしてしまうこともあります。

そこで、上記の計算式を参考に、まずは概算を自身で算出してみて、(相続税が発生する場合)正確な相続税評価額の計算はプロにお任せすることを強くオススメいたします。この内容については、3-2でも詳しく解説しております。

②債務
借金やローン残高など。

③非課税財産
墓所や仏壇などは非課税財産にあたります。その他、生命保険金(500万円×法定相続人の数まで)、死亡退職金(500万円×法定相続人の数まで)も非課税財産となります。

非課税財産について詳しくは、国税庁HPにてご確認ください。
【参考】国税庁HP「相続税がかからない財産」
【参考】国税庁HP「相続税の課税対象になる死亡保険金」
【参考】国税庁HP「相続税の課税対象になる死亡退職金」

④葬式費用
葬式にかかった費用。

基礎控除額
基礎控除額=3,000万円+法定相続人の数×600万円

基礎控除の他にも、税金控除が受けられることがあります。

・配偶者の税額軽減(配偶者控除)
配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額(基礎控除額+課税遺産総額)が16,000万円まで、もしくは配偶者の法定相続分相当額までであれば、配偶者に相続税はかかりません。
配偶者控除を受けるためには、相続税の申告書の提出が必要です。

その他、税額から控除されるもの
・未成年者控除
・障害者控除
・暦年課税に係る贈与税額控除
・相続時精算課税に係る贈与税額控除

「課税遺産総額」がプラスとなる場合、相続税が発生します。相続税の計算方法について、下記1-3にて解説してまいります。

【参考】国税庁HP「財産を相続したとき」

13. ステップ③ 相続税を算出

「課税遺産総額」に下記の税率を掛けて、「相続税の総額」を算出します。

課税遺産総額×税率(下記参照)=相続税の総額

[相続税の速算表]

法定相続分に応ずる取得金額

税率

控除額

1,000万円以下

10

1,000万円超から3,000万円以下

15

50万円

3,000万円超から5,000万円以下

20

200万円

5,000万円超から1億円以下

30

700万円

1億円超から2億円以下

40

1,700万円

2億円超から3億円以下

45

2,700万円

3億円超から6億円以下

50

4,200万円

6億円超から

55

7,200万円

相続税が算出できれば、土地だけの相続税も算出できます。

計算式)
土地の相続税=相続税×土地の価格/遺産総額

【参考】国税庁|パンフレット「暮らしの税情報」(財産を相続したとき)
【参考】国税庁HP「相続人の範囲と法定相続分」
【参考】国税庁HP「相続税の計算」

オススメ!]相続税の申告要否&税額を簡単にシミュレーションする方法

国税庁のサイト『相続税の申告要否判定コーナー』を活用すれば、相続税が発生するか否か(相続税の申請要否)やおおよその相続税額が簡単にシミュレーションできます。

・相続税の申告要否判定コーナー(国税庁)

2. 損をしないために押さえておきたい「土地・相続税の特例」

土地 相続土地を相続した場合に、一定の要件を満たせば、税金の特例措置が受けられる可能性があります。

小規模宅地等の特例(相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例)
被相続人(亡くなった人)などが事業や住まいなどに使っていた土地を、被相続人の配偶者や親族が相続する場合、一定の要件を満たすと、相続税評価額が減額される。

区分

上限面積

減額率

居住用

330㎡まで

80

事業用

400㎡まで

貸付用

200㎡まで

50

小規模宅地等の特例を受けるためには相続税の申告書の提出が必要です。
適用要件について詳しくは、下記HPにてご確認ください。

【参考】国税庁HP「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

その他、相続した土地を売却した場合には、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」が受けられる可能性があります。詳しくは下記HPにてご確認ください。

【参考】国税庁HP「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
【参考】国税庁HP「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

3. 土地の相続税が発生する場合、申告が必要

相続税が発生する場合は、相続税の申告と納税が必要となります。また特例を受ける場合も、申告が必要です。ここでは、申告と納税について、押さえておくべきことを2つご紹介いたします。

31. 相続税の申告には期限がある

相続税は、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が死亡した日)の翌日から10ヶ月以内に被相続人の住所地の所轄税務署に申告書の提出&納税をする必要があります。期限を過ぎると、加算税および延滞税がかかる可能性があるため、正確にスピーディーに手続きを進めることが大切です。

【参考】国税庁HP「相続税の申告のしかた」

32. 相続税の申告は税理士に依頼すべし

相続税が発生する場合、実際に納める相続税の計算と申告については、その道のプロである税理士に依頼することを強くオススメいたします。

なぜならば、12でもお伝えした通り、一般の方が、専門性の高い土地の評価規定を理解し、自身の土地がどの規定にあてはまるかを見極め、相続税評価額を正しく算出するのは至難の業だからです。相続税評価額を正しく算出できなければ、当然、相続税評価額をもとに算出する相続税額も、正しく算出することはできません(1-21-3参照)。

比較的、評価の難しくない正方形の土地などは、(相続税評価額を)自身で正しく算出できる場合もあるかもしれません。しかしながら、「実際は、該当する規定が他にあり、税金を余計に支払ってしまった」というケースは少なくありません。

また、自身で計算をして仮に納税した税額が誤っていた場合には、追徴課税などのペナルティが課せられるリスクについても、頭に入れておきたいところです。

税理士をお探しの場合、日本税理士会連合会HP内の「税理士情報検索サイト」にて税理士や税理士法人を検索することもできます。

まとめ

土地の相続税について解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。

まずは、『相続税が発生するか、否か』『どのぐらい相続税が発生するか』を自身で計算してみましょう(1章参照)。そのうえで、相続税が発生する場合は、プロに実際に納める相続税の計算および申告を依頼するのがオススメです(3章)。

ぜひ上記情報を参考に、土地・相続税の計算、そして申告、納税を賢く進めてください。

土地を相続するにあたり、「土地・相続の流れや費用」について解説した、こちらの記事も、ぜひ参考にしてください。

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